第29話怒られる未来

ホテルに着くと、恭介の携帯が直ぐに鳴った。


「恭介~愛しの未来ちゃんだな?」


「絶対そうだと思うよ!やっぱり~もしもし?」


「きょ、きょ、きょ」


「未来、落ち着いて、ゆっくり喋って!」


「きょ、きょ、恭介さん!来夢と斗夢が

凄かったです!」


「あの~未来さん?何で知ってるのかな?」


「今日、会場に身分証明を、持って行って

入れて貰ったんです!」


「未来~それは駄目だろう?入りたくても

入れない、ファンの人も居るのに!何時もの

未来なら、そんな事はしないだろう?」


「ごめんなさい!どうしても心配で」


「未来、自分の子供達を信じろ!来夢と斗夢は大丈夫だ!問題は未来だよ!」


「私、私ですか?」


「あ~前に習ってた手話でも、再開したら?

1人の時間も充分、有るんだし!」


「そ、そうですね、は、はい、じゃあ」


電話が終わるとメンバーが


「未来ちゃん、会場に入って来てたの?」


「すまん!怒っておいたから」


「あの未来ちゃんも、子供の事になると

弱いね~」


「だから未来は、極端過ぎるんだよ!まぁ

未来の事は、いいからツアーに集中しようぜ!」


「そうだな!」


こうして来夢と斗夢は、peaceのコンサート

では、何時もステージに立つ様になった。

2人のファンも、出来て来た。

ツアーが終わって、家に帰る桜庭男子達。


「ただいま~」


「お帰りなさい、恭介さん、来夢、斗夢」


「未来?どうして手話なの?声に出さないと

来夢と斗夢は、分からないよ」


「だって恭介さんが、手話を再開しろって

言うから」


「家は別、普通に会話しないと!」


「来夢、斗夢、頑張ったね!直ぐにご飯に

するからね!」


「うん!」


食事を済ませて、子供達が寝た後


「未来、話がある」


「えっ!離婚ですか?」


「はぁ?なんで?」


「大体こういう時は、離婚話になるかと」


「違うよ!来夢と斗夢の話だから、こっちに

来て」


「はい」


「座って」


「はい、どう言った事でしょう?」


「前に来夢が、スターになりたいって言って

たよな?メンバーと相談して、来夢が15歳、斗夢が13歳になったら、ユニットを

組んでデビューさせるから!それ迄は

peaceのコンサートに出して、少しずつ

ファンの人に、覚えて貰える様にするから

ただし、来夢と斗夢がコンサート中も

レッスン中も、手を抜いたらデビューは

させない!」


「恭介さん、それは見事な戦術ですね!

どの時代も戦術は、必要ですから分かりました、私は私の、すべき事をします!」


「未来?未来?何?未来のすべき事って」


「前みたいに、テレビに出て来夢と斗夢を

宣伝します!」


「ちが~う!未来は家を守るの!」


「え~私の戦術は、間違ってますか?」


「間違いだらけ!」


(来夢と斗夢に、ファンが付かなくなるよ!

まったく)


それから来夢と斗夢の、厳しい毎日が続くの

だった。

未来は、手話のボランティアをしながら家を

守っていた。

そんな、ある日又、マスコミに捕まった

未来。


「未来さ~ん、今息子さん達が活躍して

ますね~」


未来は手話で、返事をする。


「未来さん、手話は分からないです!

お話をお願いします!」


すると未来は、リポーター達を手招きする。

寄って行くリポーター達。

未来は小声で


「大きな声で、言えませんが、私が話をすると恭介さんが、怒るんで恭介さんに、聞いて

ください」


「あの~未来さん?小声で話しても、マイク

なんで全部聞こえてますよ」


「キャ~」


と言って、その場を走って逃げる未来。

それを、スタジオで見ていたpeaceの

メンバー。


「ハハハハ」


「恭介、もう未来ちゃん最高!」


「やっぱり、テレビに出そうぜ!」


「来夢と斗夢の、宣伝になるぞ!」


「何を言ってんだよ!未来が出ると来夢と

斗夢のファンが、出来なくなるよ!」


「どっちかだよな?スッゴク、ファンが付くか、全然付かないか」


「だろう?そんな事は、絶対に出来ないよ!」


「でも、やっぱり未来ちゃんは見たいよな?」


「そんなに見たいなら、家に来ればいいじゃん」


「えっ!いいのか?」


「いいよ」


「俺達、今まで遠慮してたのに損したよ!

もっと、早く言えば良かったよ!」


「じゃあ、今日帰ったら、未来に言っとくから、明日なら、みんないけるだろう?」


「お~!」


「じゃあ、明日の夕方に来いよ、ご飯でも

食べようぜ!来夢と斗夢が、お世話になってる恩返しだよ!」


「ラッキーみんな行こうぜ!」


「あいよ~」


家に帰った恭介は、未来に


「明日メンバーが、家でご飯食べるから

未来は料理を頼むな!」


「恭介さん!それが人に、物を頼む時の

態度ですか?」


(ありゃ~又、スイッチが入ったぞ!)


「あのな未来、来夢と斗夢がお世話になって

るんだぞ、当たり前だろう!」


「あっ!そうですね、失礼しました、それで

料理は何がいいですか?」


「全員で8人だから、未来が大変だから

鍋にでもしたら?それだったら簡単だろう?」


「簡単?」


(ヤバイ、又、スイッチ入るか?)


「そうですね、分かりました」


(フー本当に、未来のスイッチが分からないよ!)


と、思う恭介だった。


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