第16話未来、教習所に通う(1)
「じゃあ、お義母さんお願いします」
初の教習所へ、向かった。
そして、受け付けを済ませた。
先に、学科だったが、学科は何の問題も
無かった。
問題は、実技なのだ。
「じゃあ、桜庭さん車に、乗って下さい」
「え?私、こっちに乗るんですか?」
「もちろん、あなたが運転するんですから」
「でも、私の夫は何時も、先生の方に
座って運転してますよ」
そう、恭介は外車なので、左ハンドル
だった。
「桜庭さん、それは外車ですね、普通は
みんな、右ですよ」
「じゃあ、私の夫は、普通じゃ無いんですか?」
「いや、そういう意味じゃ、無くて、
とりあえず、そちらに、乗って下さい、
そして、シートベルトをして、ミラーを
自分が見える様に、合わせて下さい」
言われた通りにする未来。
だが、どこかおかしい、先生が
「桜庭さん、ミラーそれで、見えてますか?」
「はい、ちゃんと私が、見えてますよ」
「はい?自分が見えちゃ、駄目でしょう!
後ろが見える様に、しないと」
「だって、先生が自分が見える様にって
言ったじゃ無いですか!」
「それは、自分から後ろが、見える様に
と、いう事です」
「それなら、そうと言って下さい、本当に!」
怒っている未来。
(怒りたいのは、こっちだよ!)
車が出発する迄に、そこそこの時間が
過ぎた。
「右が、アクセル、左が、ブレーキ
忘れないで、下さいね。アクセルを
踏むと、走りますから、まず速度を
20キロ位で、外回りを走ってみます。
右に曲がる時は、右に付いてる
指示機を上に、上げると右、下に
下げると、左ですから、わかります?」
「はい」
「じゃあ、やって見て下さい。」
「はい」
ワイパーが、動き出した。
「先生、何ですか?これは」
「それは、ワイパーです!雨降りに
使います、桜庭さん、右の方でやって
下さい」
「はい」
やっと、指示機が出せた。
「じゃあ、今日は時間なので、ここ迄です」
「ありがとうございます」
ほとんど、車は走って無かった。
未来の、教習が終わった、教官は
グッタリしていた。
「どうしたんですか?杉本先生!」
「駄目だ~俺には、桜庭さんは無理~」
今日の教習の、話をすると、大爆笑の
先生達。
「あのね~先生達、自分じゃ無いから
笑えるんですよ、経験したら分かり
ますから」
帰り、未来はお義母さんの所に、来夢と
斗夢を迎えに行った。
「すみません、お義母さん」
「どうだった、教習所は?」
「それがね、お義母さん、恭介さんの
車と反対に、ハンドルが付いてるん
ですよ!ビックリしましたよ!」
(それが、普通だよ)
「あらそう?」
と、恭介の母は、聞き流した。
未来は、昔から信長様命で歴史が
好きで、自分が興味の無い事は何も
知らない。
未来は、来夢と斗夢を、連れて帰る。
ご飯の支度をして、恭介の帰りを待った。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「パパ、おかえり」
和やかな、食卓。
未来は、今日の教習所の話をした。
(今日の、2時間でそれだけ、やらかしたの
これから、先どうなるの?)
恭介は不安に、押し潰されそうになる。
翌日
メンバーは、恭介の話を楽しみに待って
いた。
聞いた、メンバーは
「未来ちゃん、らしいな!」
「無敵だね、相変わらず!」
笑い転げていた。
「今日も、行ってるんだろう?」
「うん」
「いや~明日が楽しみだね~」
「みんな、仕事しろよ!」
怒る、恭介。
その頃、教習所、今日は小林先生だった。
杉本は、辞退した。
「あれ?今日は先生が、違うんですか?」
「そうですね、その日で変わります」
「そんなに変わって、教え方は一緒
何ですか?大丈夫ですか?」
(あんたの、せいだよ!)
と、小林は思った。
「じゃあ、昨日習った所迄、やってみて
下さい」
未来は、シートベルトをして、ミラーを
合わせた。
座り心地が、しっくりしないので、シートを
動かした。
「先生、出来ました」
「桜庭さん、ミラーを合わせた後に
シートを動かしたら、意味が無いですよ。」
「どうしてですか?」
「ミラーを、見て下さい、後ろが見え
ますか?」
「まぁ、何とか」
「何とかでは、駄目なんですよ、ちゃんと
見え無いと、もう一度ミラーを合わせて
下さい」
「はい」
「じゃあ、20キロで外回りを、走ります
から、曲がる時は、指示機を忘れずに」
「はい」
走り出した。
右に曲がるので、指示機を出す。
やっぱり、ワイパーが動く。
先生が、自分の方の、ブレーキを践む。
「桜庭さん、右が指示機、左がワイパー
昨日、したでしょう?」
「そうですね、しましたよ、一度に
覚えれ無くて、すみません」
「じゃあ、今日は急ブレーキの、練習を
します」
「はい」
「桜庭さん、スピード上げて、もっと
上げて、そして急ブレーキ」
「あのね、桜庭さん、今のでは普通の
ブレーキですよ!急ブレーキの練習に
なりませんよ!」
「大丈夫です、私はスピード出さないんで
急ブレーキは、使いませんから!」
「いや、そういう事じゃ、無くて車や
人が、飛び出して来ても、急ブレーキ
使うでしょう?」
「でも、飛び出して来た方が、悪い
でしょう?それを注意しないと、私に
言われても」
「いや、ぶつけると、桜庭さんも
悪くなるんですよ?」
「おかしいですね!法律を変えないと!」
「はぁ~」
今日も、車はほとんど、走る事は無かった。
事務所に戻った、小林。
「ねぇ?凄いでしょう?」
と、杉本先生。
「凄すぎますよ!法改正迄、言い出し
ましたよ」
「え~っ!」
まだ、面識の無い先生は、みんなヒヤヒヤ
していた。
家で未来は、有った事を全部、恭介に話を
する。
聞いてる恭介は
(卒業、出来るのかな?)
そんな未来だが、来夢、斗夢には、優しく
育児は、テキパキこなしている。
翌日
未来の教習所の話を、楽しみに待っている
メンバー。
恭介が話をすると、全員が笑い転げる。
「もう、最高!」
「未来ちゃん、とうとう法律に迄
首を突っ込み出したか?」
「恭介、未来ちゃん議員になったら?
あんだけ、言える人は居ないぞ!」
「もう、止めてくれ~俺は普通の家庭が
いいんだよ!普通の!」
まだまだ、恭介の闘いは、終わらない。
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