ふぁーすとこんたくと

 ファーストコンタクトというと、宇宙から、つまり頭の上からやってくるのが定番だ。

 少しひねって地底、海底に隠された文明があって、というのもあるだろう。

 だが、人類が最初にコンタクトしたのはどのどれでもなかった。

 ある日、人類は自分たちが延々声をかけられていることに気付いた。

「ああ、やっと」

 今まで人の認識になかった彼らはほっとしたような声をあげた。

「ずっと隣にいたのに、気づいてくれないしぶつかってくるからよけるの大変だったんですよ」

 人間の認識をよけて存在する彼らは、先祖がなぜその能力を持ったかを覚えてはいない。人類も完全に忘れていた。

 伝説でいろいろな名前で呼ばれている彼らは奴隷であり、敵であった。

 思い出すまでは平和は続くだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る