第2話 再会と予感

高校生になった春


もうこの頃には、

シュウちゃんのことを思い出すことは

ほとんどなかった。

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私が選んだ高校は電車で30分の私立。

電車通学への憧れと制服が可愛かったのが決め手。

紺色のブレザーとプリーツスカート

ネクタイもリボンもあってその日の気分で変えた。

紺ソックスにブラックのローファー

スクールバッグもお気に入り。


両親は厳しく、2人の許可が出る範囲で

なるべく可愛い制服がある学校を選んだのだ。


中学三年間、仲が良かったマイと一緒に受かった。

マイは小学校が違っていたが

考え方が似ていたり、マイの空気感が好きだった

私は彼女と一緒にいるのが心地よかった。


ほとんどの同級生は

自転車で通学出来る高校を受験していた。

マイは私と一緒の学校を選んだが、

私は知らない人ばかりの新しい環境へ行くことに抵抗はなかった。


マドカは市内で一番偏差値の高い公立高校へ

進学していた。

幼稚園から一緒のマドカとは

学年が上がるにつれ話す機会が減っていった。

喧嘩をしたわけでもないが、クラスが離れたりで

自然とそうなっていった。

マドカとは中学の間ほとんど接点はなく、卒業式の日、久しぶりに会話したのを覚えている。

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高校生になって初めての夏休み。


再会の時は突然やってきた。


スマホの画面に"マドカ"の文字。


卒業式以来の連絡。


珍しい、どうしたんだろう?

「もしもし?マドカ久しぶり、どうしたの?」


「リカ?元気?あのさ、夏祭り行かない?

もうすぐあるでしょ?ステージがあるお祭り!

小学生の時一緒に行ったじゃん?」


一緒に行っていたのは低学年の頃。

だんだんと別の友達と行くようになっていた。

なんで高校生になって私を誘ってきたのか?

よくわからなかったが、

何か理由があるのだろうと思い行くことにした。


地元の夏祭りにはたくさんの屋台と花火

そして小さなステージがお決まり。


私はわたあめを食べるのが好きだった。


ステージでは

のど自慢大会や近くの学校の生徒による発表など

簡単に言えばなんでもあり。

事前にルールに沿って申請さえすればプロじゃなくたって立つことが出来る。

地元から愛されている場所だったし

私もこのステージが幼い頃から好きだった。


未完成の青春、かと思えば、

驚くほど高いパフォーマンスだったり

大人たちが子供に戻ったような笑顔で踊ったり

おじいちゃんおばあちゃんの幸せそうな歌声


ジャンルを問わず脈絡なく続いていくステージに

毎年心奪われていた。

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お祭り当日


マドカに頼まれ浴衣で行くことになっていた。

久しぶりの浴衣は歩きにくくて早めに家を出た。


集合場所にマドカの姿はまだなかった

マドカと会うの久しぶりだ。

誰かを待っている時は何故か緊張する。


「リカ!お待たせ!」

手を振りながら近づいてくるマドカは

赤に金魚の柄の浴衣を着ていた。


小さい頃より少しデザインが落ち着いていたが、

相変わらず赤に金魚の浴衣でなんだか安心した。


マドカの浴衣姿は赤に金魚しか見たことがない。


あの頃から変わらず

ずっとそばにいたんじゃないかと錯覚しそうになるくらい二人の間に距離は無かった。


お互いの高校の話をしながら

屋台を見て回り、ステージの方へ

自然と向かっていた。


私はたこ焼きとソーダ。

マドカは唐揚げとかき氷を買っていた。

幼稚園の時から変わらない。

自然と別のものを買って仲良く食べる、

言わなくても今日も自然とそうなっていたのが

とても嬉しかった。


マドカは屋台を回っている時から

ずっと時間を気にしているようだった。

スマホをつけたり消したり、誰かの連絡を待っていたのだろうか?


一番奥に毎年設営されるステージ

ステージの前には簡易ベンチが沢山用意されている


そこでステージを見ながら屋台で買ったものを食べるのが私たちのお決まり。


ステージ前のベンチに着くと

私たちが通っていた幼稚園の子供たちが

ダンスを披露していた。


自分の幼い頃を思い出しながら

あの頃に思いを馳せた。


園児たちのダンスの音楽が終盤に差し掛かると

突然マドカは言った、

「リカ、トイレ行かなくて良いの?」


え?戸惑いながら答えた、

「行きたくなったら行くよ?」


なぜだか落ち着きのないマドカ、

「…とりあえず食べ終わったし行こうよ!

私も行くから。」


なぜそんなに私をトイレに連れて行きたいのか

わからなかったが、


トイレからステージの方へ戻ると

答えが待っていたのだ。

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知らない私ともう一度 @NONAKI

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