夢の回転木馬 微糖
@Talkstand_bungeibu
第1話
彫り師の男のノノロキという名前を、どんな漢字なんだろうと思いながら、俺は左腕の痛みに耐えていた。体中を墨だらけにしているとはいえ、いまだにこの痛みにはなれない。
縁取りをするだの色を入れるだの工程をノノロキという男は言っているが、ほとんど聞いていなかった。今回入れるのがHGBという保険会社で、4cm×4cmのものを右ほほにいれるのだが、顔には急所が集まっているらしく、ほかの部位に比べて目立つ分大きさは小さくなる。専属タレントの顔を入れることも考えたが、その小ささじゃ解像度も粗くなるしそのタレントが不祥事でも起こしたらまったくの無駄になってしまう。
実際新しい働き方だなんだと口では言っているが、実際のところはばくちみたいなものだ。黄色まゆげは4年も前に知人(だいたい知人ってなんだ?20年とすこし生きてるが、知人なんてものに会った試しがない)から間違いなく大手になるアメリカからでてきたサービスだとかいう一週間単位のレンタルペット業のタトゥーを背中一面に(それこそ昔のヤクザみたいに)入れたものの、一年もたずに撤退となり、あわれ黄色まゆげはこの先一生背中にイメージキャラクターのピンクの猫を背負って生きていかなけりゃいかないはめになっていた。俺たちがベロフリリンで悪酔いしたとき、そのピンクの猫を見せてくれというと本気になって怒るもんだから俺たちは必死になだめたものだった。
今日はここまでだというんで、鳩山町へ出かけることにした。雨が降ろうと風が吹こうと、契約上一日最低6時間は人目のある所へ行かないといけない。熱があるからって家で休んでいると腕についてある位置情報確認によって契約は打ち切られる上に3か月間のペナルティが与えられる。そんな毎日だから俺は昔いたというサラリーマンという生き物に愛着がわく。
俺も大して変わらないからだ。
サンドウィッチマン、という職業があったというのもアル中じいさんから聞いたことがあった。どんな仕事なのか聞いたら俺たちと大して変わらないといっていた。昔のやつらはサから始まってンで終わる仕事が大好きだったらしい。俺はサから始まるマンを考えながら公園に座った。
さかなマン、さきいかマン、サルモネラマン、寒いぼマン、サイコロマン、サイコロステーキマン。一番強いのはサルモネラマンだろう。
アル中じいさんが死んだ。じいさん、と言っても俺はじいさんの正確な年なんてわかってなかった気がする。ただ俺と出会ったときには髪にもひげにも白髪が混じっていたし、ごみ箱の中の紙袋のように濃いしわは、戸籍謄本なんかよりはっきりと人生の長さを感じさせた。
じいさんはあまりいいやつじゃなかった。俺とじいさんはしょっちゅう喧嘩した。基本的に俺が輪を乱したことが原因だったが、じいさんの言い方も問題があった。なにかっていや「お前らグラ世代は脳がマヒしとんだ」って言う。グラ世代なんて言葉自体俺たちはしたことがない。それはじいさんの年のやつらが(しかもとりわけ侮蔑的に)つけた名前だ。しかもその言い方じゃあグラ世代のやつらがまったく同じ考えを持っているみたいだが、そんなことはない。むしろ俺は同年代のやつらを見ると虫唾が走る。特に音楽の趣味なんかひどいもんだ。でもひとくくりにして一方的に見下すやつらのほうが好きじゃない。だから影じゃあみんなじいさんの悪口を言ってたし、じいさんの飲んでいる酒瓶にはみんな唾を入れてたし、それに気づかずにうまそうに酒を呑むじいさんを見て笑ってた。
でもじいさんは憎悪だけをまき散らしてこの世を去ったわけじゃない。
俺がまだ身長が半分もなかったころ、じいさんは遊園地へ連れていってくれたことがあった。思えばあれが人生で一番古い記憶かもしれない。その時はじいさんもじいさんと呼べるほど年を食っていなかった。せいぜいおっさん、ぐらいだ。
遊園地といっても、そこまで大きいものじゃない。小さいうえにおんぼろ、出てくるポテトは冷たく、キャラクターの着ぐるみは日に焼けて茶色く、ジェットコースターに乗った連中は整備不良で逆さまのまま30分待たされたなんて噂があるぐらいだ。
じいさんはいつものように道行く客と施設にありとあらゆる悪口をぶつけて歩いた。俺もほとんどいってる内容も分からずそれを真似した(5歳の子供には罪はない。クラミジアなんて言葉はそれから10年たってから知ることになる)。
メリーゴーランドに乗っている間も、手をふる親たちの中にじいさんはいなかった。俺は黙って金属の棒を握りしめた。
じいさんはベンチでスポーツ新聞を読んでいた。俺は「なんでメリーゴーランド乗らねえんだよ」と聞いた。
「お前はまだガキだからいいけどな、俺みたいな大人が乗るもんじゃねえんだよ」
「なんでだよ」
「俺はにせもんの馬より本物の方が好きなんだよ」そういいながらじいさんはスポーツ新聞をぐるぐる巻きにした。
「いいじゃねーかよ。にせもんだけど楽しいじゃねえかよ」
「楽しくねーよ。あんなもんおんなじとこぐるぐる回るだけじゃねーかよ」
「そんなもん競馬だってぐるぐる回ってんじゃねーかよ」
じいさんはしばらく考えていたみたいだった。俺は味のついてるのかついてないのかわからないポップコーンを食べていた。じいさんは横から手を伸ばしてそれをひとつかみ持っていき、ヤニと酒臭い口の中へと放り込んで言った。
「競馬の馬は年取るとどうなると思う?」
「年取ると?死んじまうんじゃねーの?」
「そんな死ぬまで走るやつはいねぇ。運がよけりゃあどっかにもらわれることもあるんだろうけどな、たいていは食われちまう」
「くわ・・・」
「残酷に思うかもしれないがな、それが世の中の仕組みなんだ」
俺は子供ながら何をこの汚いジジイは子供相手に言ってるんだろうと思った。
「1等になったりそうじゃなかったりしながらな。中には使い物にならなくなる事故に遭う馬もいる。ジョッキーならもっとかもな。でも、同じところを回るのでも、命を持たないでぐるぐる回るのと、ぼろぼろになって走りきる馬となら、おりゃあ生きてる方がいいな」
俺はわかったようなわからないような、はぐらかされたような真剣に言ってるような感じがしたから、うるせぇバーカと言って縁日の屋台へと走っていった。後になってからじいさんが俺に真正面から何かを教えようとしてくれたのに気づいた。それ以外でじいさんの口から出てきたのは3日間煮込んだような悪口と酒臭い息だけだった。
じいさんはベッドの上で横になっていた。さんざん俺たちからむしりとった金のせいで抜群の医療を受けていたようだったが、長年の酒浸りの生活で沈黙の臓器がスタンダップコメディライブぶっ通し2時間SPを繰り広げていた。
「よう、ずいぶん素敵な寝顔だな」枕元に立って話しかけた。苦しそうな顔をしたじいさんはこっちを見て自嘲的に笑った。
「死ぬ前に見るのが女じゃないなんてな。隣の手術室でシリコンだけでも入れてきてくれよ」
「そいつが遺言か?もちろん財産分与は俺に8割だよな」
「くそったれが。遺産全部使って駅前に5階分のわしの銅像を建ててやるから朝晩磨け。鳩のフンつけるなよ」
お互いにらみ合い、そのあとで腹の底から笑った。しつこくせき込み、じいさんはゆっくりと目を閉じた。
俺は毛布を掛けてやった。
最後に笑えてよかったと思う。
部屋に戻ると逆張り詩人がファスト映画を見ていた。詩人は飯をたべながら4つの画面を同時に眺めていた。
「お帰り。どうだった?お金もらえそう?」
「まだ全部できてねーんだよ」
「なんだそっかぁ。」俺は気が抜けるような詩人の声に脱力する。
「けっこう出そうなの?」
「5年契約で月8万円ずつ」
「やるー。さすが顔。振り込まれたら借金返してよね」
「はぁ?俺が貸してんだろ」
「直筆のサインの借用書、クラウドにあるけど見る?」
うるせえこのやろ、とごちんとぶつ。いたいよぉという詩人を見てこいつはどうやってタトゥー入れるのかと思ってしまう。
詩人の体の墨は全部文字だ。本人いわくキャッチコピーらしい。片っ端から会社にもっていき、気に入ったら契約してもらうそうだ。
「昔は一文字いくらっていう時代があったんだよ~」
詩人はそういう。俺は信じられない。ただの文字じゃないか。
だいたい俺には詩人のキャッチコピーに値段が付くとは思えない。
「人間は考える葦ではない」「自分は逃げない 逃げるのはいつだって夢だ」
有名な言葉を反対にしているだけなのだ。
「アフォリズムっていってね。普通の価値観と違った視点をもつことから始めるんだ」
もう一つ欠点があるとしたら、詩人のコピーの内容には商品についての内容が書いていないことも挙げられる。じいさんはよく耳なし芳一と呼んでいた。耳なし芳一がどんなやつなのかは俺は知らない。
黄色まゆげから迎えに来てほしいと連絡があり、車を出そうとすると、コーラジャンキーが後部座席で寝ていた。
「どけよ」
「こーらをくれよぉ・・・」
「手荒な真似をしたくないんだ」俺の様子に気づいた詩人が止めに入った。詩人が小銭をやろうとしたので、止めた。
「金を渡すとずっとたかられるんだぞ」
「いいだろ、彼らもかわいそうな人たちなんだ」詩人が小銭を渡すとジャンキーはポケットにそれをしまい立ち去った。
「僕だって君に助けてもらってるじゃないか」
「お前は友達だ」詩人を助手席に乗せて俺は車を出した。確かに8年前に起きた事件・・・。サブリミナル・テロの影響はでかいといわれている。なんせ一週間にかけてコーラの映像をスポンサーの支持するがままにテレビ局がすべての番組で流し続けたのだ。あれ以降はサブリミナルにはより厳しい罰則が与えられるようになった。
「だが一部では回復したって噂もあるし、それでだまして小銭をもうけてるやつもいるらしいぜ」
「偏見でものごとを言っちゃだめだよ。妖怪の悪い癖だよ」
妖怪。それが俺の名前だ。
道はここ最近じゃ珍しいほどピースだった。自爆アドバルーンもいなければバナー蟲もいないようだった。俺と詩人はごきげんだった。蒸し暑い夏だったが、夜風を浴びて走った。
「ごきげんな夜だね」
「ああ」
夜空の大型プロジェクターには情報商材を紹介するうさんくさそうな男のにやついた笑顔が浮かんでいた。
「黄色まゆげを拾ったらどっかの店に寄ろうか。まだいくらかわかんないけど、妖怪のお金もたぶん入ってくるでしょ?前祝いしようよ」
「あそこの街、行ったことあるか」俺は詩人に返事せずに言った。
「あっち?」詩人は俺が顔で指した方を見た。
「いや?まだ行ったことないな」
「きれいじゃないか?きらきら光ってて」
「うーん。あんまり意識したことないな」
「公園に行く途中、いつもこの道を通るんだよ。で、いつもあの光を眺めるんだ。そのたびに素敵だな、どんなところなんだろうって思うんだ」
詩人は退屈そうに聞いていた。
「で、ある日の帰り道に実際にその町に行ってみたんだよ。大したことない。どこにでもあるような普通の街だった。」
「なーんだ」
「でも俺は道を間違えたんじゃないかと思うんだよ。どっかにはまだ、あの光る街がある気がすんだよ」俺は中の空気がほとんど漏れたポルノ風船を轢きながら言った。風船は甘い声をもらして割れた。
「それいただきだな」詩人はそういった後シートの角度を倒して目を閉じた。
告げられた倉庫の前で黄色まゆげは大量の荷物を抱えていた。大家という仕事にあかせて多趣味のじいさんはいろんなものをため込んでいたらしい。金はびた一文渡さなかったが、時代遅れのコレクションたちはじいさんの家族経由で譲ってくれたらしかった。狭い部屋だがもらえるものは犬の糞でももらえが信条の俺たちはえっさほいさと群がっていった。
「使えないもんばっかだな」黄色まゆげは逆U字に上げたまゆをひくひくさせながらいった。確かにそうかもしれなかった。ありあまる古本、古漫画本、古CD、トレーディングカード、様々な機材などなど。
黄色まゆげの人生は品のなさにあふれていた。体を2つに分けたとき、上半身は金の事、下半身は女のことしか考えないようなタイプだ。名前に関した黄色いまゆげはその象徴というべきものであった。
ある日起きるとまゆげを黄色に染め上げていた。某大手ハンバーガーショップと契約を交わすのだという。奇跡的に2か月の間結ぶことができたその眉はいまでも強欲さを顕著に表している。
「ま、売れるものは売って残ったものは捨てるとすっか。しかしまーよくもこんなに残したもんだねぇ」そう言って車へと荷物を詰め込んでいった。
その中にそのビデオはあった。
僕はその映像を眺めた。何の広告も入らない映像を見たのはずいぶん久しぶりな気がした。なんせ映画業界というものはなくなり、現在の映画の消費の主流はファスト映画であらすじを見ることになっているからだ。人工知能がCGで生み出した誰も見ない映画を、また別の人工知能があらすじをまとめ、それを見ることが現代の最大の娯楽なのだった。
映画の内容自体はつまらなかった。いや、確かに俺もちゃんと映画を見たことは少ないが、それでもひどいものだと思う。タイトルは「スラグ島の4日間」というものだった。タイトルの通り、スラグ島というところにじいさんが行き(そんなに若い姿を始めて見た)、ただただそこら辺にあるものを撮影するだけ、というものだった。
一つ予想外だったのがじいさんとともに旅をしていた女性がいたことだった。晩年にはじいさんには奥さんや愛人らしい人もいないようだ。その女性の顔は清らかでナチュラルな尼さんのような顔だちをしていて、じいさんとの関係性を明らかにする会話はなかった。おそらく友達か、それ以上なのだろうとなんとなく思った。
おそらく密林の中なのだろう、シダ植物が生えている中で二人は他愛ない会話を交わしていた。海の水は限りなく透明だった。
俺はじいさんの昔からの訛りを聞いて悲しくなって泣いた。
そして、この女性にビデオを渡してあげたらどうだろうと思った。10分後にはわたしてあげたらいいんじゃないか、1時間後には何が何でもわたさなければいけないと思うようになった。
「無理があるけどなぁ・・・」
野うさぎは言った。野うさぎは町の人間や事情ならなんでも知っている女だ。彼女は動画から引き伸ばした画像を見つめていった。
「今の姿ならすぐにでもやってやるが・・・」
「無理そう?」詩人が言う。黄色まゆげが時間の無駄だというのに対して詩人は乗り気だった。時間があるのと自分の詩に影響を与えられそうだからだそうだ。
「ちょっとまってな」野うさぎはそういうと、画像に対してなにやらデスクトップパソコンでいじり始めた。できた、という彼女の声を聴いてみてみると老いた女性の姿が9通り写っていた。よく見てみると、それがその彼女の年を取らせた姿であった。短髪だったり長髪だったり、しわの加減も微妙に違っていた。
「ざっとやってみたけどもちろんこの姿じゃないのもあるし、それ以前に亡くなっている可能性もある。まぁ、やるだけやってやる。ただ名前も住所も知らないんだからあてにはするなよ」
「ありがとな」俺は部屋の中を見回した。
「引退するってほんとか?」
「あぁ」
「もったいないと思うけどなぁ。体に広告をいれないで生活できるんでしょ?」詩人が心底羨ましそうに言う。
「どうして辞める?」
「簡単には言えないけども」そう前置きした。
「例えばこうしてお茶を飲む」野うさぎは自分にしか淹れていないお茶を一口飲んだ。「そんな時に見えないドミノが崩れて海の向こうの誰かが死ぬ。世の中はそんな風にできてる」
「それでやめたって?」
「誰かがやった何でもないことで誰かの命が失われて誰かがやった何でもないことで今いきてられるんだよ」
「うさんくさー」
そういった詩人の頭にげんこつがふってきた。
帰る途中に空を見ると、大型プロジェクターが浮かんでいた。
プロジェクターでは若者たちが海で遊んでいた。
「夏とともにある味。サウザンドコーラ」人気女優がそう言うと、爽やかな音楽が流れた。若者たちの体には一つもタトゥー・ロゴが入っていなかった。30秒の中には完璧な世界があった。
そこは戦争も貧困も、差別も貧困もない空間だった。
サウザンド・コーラがあればすべてを解決してくれる。どんな恋も、どんな仕事の悩みも。
スクリーンの中へ入っていけばよかった。サウザンド・コーラが今の俺の悩みも助けてくれるようだった。
だが実際には俺は渋滞の中にいたし、追尾ボットが窓の向こうから3秒除毛機のキャッチコピーをやかましく言っていた。
ひとつの季節が流れて俺は一つ、詩人は一つのコピィ(葦は考えない人間である)、黄色まゆげは3つの広告を入れた。
黄色まゆげが持ち帰った合成人間に詩人は失恋したし、俺は俺で今はやりの正20面体ルービックキューブの完成に時間を注いだ。
そしてじいさんの残したビデオをたまに見返した。
ビデオについての記憶が薄れかけていた頃、野うさぎが家を訪ねてきた。
「死んでたよ」
野うさぎは封筒を手渡した。
「老衰か?」
俺は封筒の中の文字を数ページ飛ばし読みした。
「じいさんと同じくらいならだいぶ年もいってんだろ」
「自殺だ」
「ほぉ・・・」
「ステマライフだったんだよ、彼女」
「ステマライフ?」
「ちょっと前にそんなのがあったんだよ。食べるものも飲むものも、服もシャンプーも睡眠時間も。すべてスポンサーのもの。しゃべる内容も見る映画も全部な」
「なんでそんなこと?」
「自分の顔鏡で見ても同じこといえるか?」
俺は黙って見返した。
「消耗しきったんだろうよ。わからいじゃないさ」
「・・とにかくありがとう」
「まぁあんたも気をつけな。ぼーっとしてるとすぐに取り込まれちまうぞ」
「何に?」
答えはなかった。
俺は駅前でルービックキューブを回していた。ここにはいない二人の人のことを思いながら。
流れていく人。子連れがいて、会社員がいて、俺たちみたいにロゴタトゥーを入れたやつらもいた。
それぞれがどこかへ向かい、それぞれがどこかへと帰っていた。
それに合わせ、キューブを回転させる。でたらめに回す。
20色が混在となり、使い終わったパレットのような色味になっている。
遠目から俺を見たらこんな風に見えるかもしれない。
元に戻すことは不可能に見えた。
「セッティング終わったよん」詩人が言った。
「おう、ありがとな」
「なんで急に映像広告作ろうなんて思ったの?」
「わかんないけど、この前野うさぎが言ってただろ」
「なんて言ってたっけ」
「俺もあんま覚えてないけどさ、誰かのせいで誰かが死んで、誰かのおかげで誰かが知らない間に生きてるって。俺が作ったので知らない誰かがおもろがってくれるかもしんないだろ」
「準備めんどくさいけどね。まいっか」
カメラの向こう側でヒロインの合成人間に73に分けて派手な白いスーツを着込んだ黄色まゆげが花束を差し出した。
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