ギャルと一緒にえっちな動画を...

 大人のウェブサイトに接続される瞬間に、俺はマウスを奪い取った。


「だめだ、木葉」

「え~、いいじゃん。別に風吹くんに損はないでしょ」

「興味ありすぎだろっ。どうしてそんな見たいんだ」


 率直に聞くと、木葉は頬を赤らめてモジモジしていた。……まて、実はかなり恥ずかしがっているのか。

 今の今まで平静を装っていた?

 まさかな。


「女の子にそれを言わす!?」

「ちょ、まて。なにを言う気だよ」

「はっきり言って欲しい?」

「そりゃ、まあ……」


 俺がそう言うと、木葉は耳打ちしてきた。

 防音ありの部屋だから、コソコソする必要はないのだが――よほど聞かれたくない内容ということか。


 耳を澄ますと、木葉はこう言った。



「あたし、えっちな動画とか見たことないの。そういう経験もないし……だから、ちょっと――いえ、かなり興味あるの。

 もし一緒に見て興奮とかしたら……風吹くんとそういうことしてもいいかも」


「んなっ!?」


 そんな風に言われ、俺は心臓が弾けそうになった。……でもそうか、年頃の女の子がエロ動画なんて見ないよな。


 だけど、木葉ほどギャルなら……知識もありそうな気がするけど、そうでもないらしい。


 意外というか、なんというか。



「一生に一度のお願いだから」

「いやいや、一生に一度のお願いが一緒にエロ動画の視聴なんて……それはそれで、ちょっと……いや、アリか」


「でしょ! 物は試しでさ」

「わ、分かったよ。ただし、一本だけな!」

「それでオッケー!」


 とはいえ、女の子と一緒にエロ動画を見るなんて……人生で初めてだ。緊張で手が震えてやばい。汗もやばい。


 なんとかマウスを操作して、リンクをクリックしていく。


 ウェブサイトに接続すると、そこには大人の世界が広がっていた。……丸見えだ。



「…………」



 木葉は恥ずかしがって両手で顔を覆った。



「おいおい、木葉さん。自分で誘っておいて、それかよ」

「だ、だって……胸とかお尻が!!」

「そりゃ当然だろ。やっぱり止めておくか?」


「も、もう後には引けないよ。続けて」


 マジか。仕方ないな。


 サイトにはサンプル動画がいくつかあった。


 とりあえず、短いヤツを再生してみるか。


 ポチッと押すと動画再生された。



『――――――』



 一分ほどの短い動画だったけど、その内容は期待以上だった。やっべ、今の動画買いたい。


 ……そんな場合でもないな。


 それよりも木葉が大変だ。


 石化して時を止めていた。


 カチンコチンになってしまっている。



「お、おい……大丈夫か、木葉」

「…………うぅ」


 どうやら、木葉には刺激が強すぎたらしい。口から煙を出しそうなほど壊れかけていた。


「しっかりしろって……って、だめか」

「……あ、あんな激しく抱き合って……そういうものなの!?」

「大体あんな感じだと思うぞ」


「お、大人の世界しゅごい……」


 しゅごいって……。

 けど、木葉は気持ちが高まったのか、俺の方へ寄ってきた。


「こ、木葉さん!?」

「……しよっか」


「へ……」

「今ここで、してみよっか」


「へ!?」


「さっきの動画みたいなこと」

「!?」



 木葉はぐいぐい寄ってきて――俺は押し倒された。

 あれ、俺が襲われてるぞ……!?



「……風吹くん、しちゃお」

「え……ちょ、木葉!! だめだ、だめだめ!!」

「どうして止めるの。気持ちいこと、したいよね」

「そりゃ、したいけどダメだ。ネカフェって監視カメラがあるからバレるらしいぞ」


「え……そうなんだ。ちぇー、それじゃ無理だね」


 素直に引き下がってくれる木葉さん。

 ふぅ、セーフ。


 監視カメラのことは本当だし、場合によっては出禁になってしまうからな。それだけは避けたい。


 けど、危うくしてしまうところだったな……。

 あぁ……惜しかったな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る