ギャルのえっちな黒ビキニ

 土曜日のプランは、風呂にもかりながら考えよう。俺は立ち上がり、風呂に入ると伝えた。すると木葉はその前に話があると言って俺を引き留めてきた。


「どうした?」

「そういえば、風吹くんの部屋なんだけどさ」

「ああ、ずっと木葉の部屋というのも悪いよな。他に空いている部屋があれば、そこにするよ」



「ううん、一緒でいいかなって」

「――へ?」



 俺はてっきり別の部屋を用意してくれるものだと思っていた。だが、木葉は俺と同じで良いと言う。つまり、これからはずっと木葉と共に行動するということか。


 ……まてまて、生着替えとかも視界に入るってことだよな。


 そんな光景を想像するだけで鼻血が……うぅ。


 刺激の強すぎるイメージが浮かび、俺は鼻を抑えた。



「どうしたの風吹くん。……あ、もしかして、えっちなことを想像しちゃった? 大丈夫大丈夫。風吹くんのこと信用してるし、パンツを交換した仲じゃない」



 そう言われると複雑だが、事実でもある。今更といえば今更か。細かいことを気にしては、木葉と同居なんてできないよな。

 どのみち同じ空間で過ごすことになるのだから、別の部屋となってもあんまり変化はないだろう。変に気を遣って別々の部屋よりも、同じ部屋で共にする方が距離感も縮まるってものだ。



「分かったよ。木葉が良いっていうなら同じ部屋で寝る」

「良かった。断られたらどうしようかと思った」

「悩むだけ無駄かなって。それに、もう昨晩は一緒に寝たしさ。木葉の寝顔は子猫みたいで可愛いからさ」


「……ちょ! 風吹くんってば、あたしの寝顔を見たの!?」

「今朝、起こす時にちょっとな。仕方ないだろ」


「うわぁ、恥ずかしいじゃん!」



 頬を紅潮させ、困惑する木葉は本当に恥ずかしかったらしく、近くにあった巨大ぬいぐるみで顔を隠していた。あぁ、今人気でゆるキャラの“もちぃかわくん”か。白くて丸くてモチモチしている。


 もちぃかわくんの(∵)というシュールな顔に、俺は思わず吹きそうになった。……こ、これは……やばい。腹がよじれそうだ。



「お、俺は風呂へ行く……」

「風吹くん、なんか笑ってない!?」


「そ……そんなことはない。じゃあ後で」



 ふぅ、誤魔化せた。

 危うく腹筋崩壊するところだったぜ。



 * * *



 シャワーを浴びていると、当然のように扉が開いた。振り向くと、そこにはビキニ姿の木葉がいた。今日は黒ビキニか――と、俺は冷静に分析……って、ちがーう!!


 俺は直ぐに腰にタオルを巻いて抗議した。


「おい、木葉さん!」

「えっ?」

「えっ、じゃない。どうしているんだ」

「どうしてって、風吹くんの背中を流そうと思って」


「俺の背中を?」

「そそ。いつもお世話になっているから、少しくらいお礼しないと」


「し、しかしだな」



 どうしよう……目のやり場に困っているとか言えない。昨日の花柄ビキニもなかなか刺激が強かったけど、あれはまだ絵柄があったから多少はエロ度が軽減されていた。


 けれど、今日はシンプルな黒。

 ブラックビキニなのである。


 ちょっと下着っぽさもあって、これはエロすぎる。


 それに、ギャルといえば“黒”ってイメージもあったしな。木葉には、超が付くほどよぉぉぉく似合っている。


 更に、今日のは男のロマン“ひも付き”なのである。


 水着の上下両方にひもがあり、引っ張ったら解けてしまいそうな感じがした。



「興奮しちゃった?」



 ギリギリまで接近してくる木葉は、悪い顔をして子犬な俺を挑発してくる。目の前には、超弩級戦艦の谷間がボヨンボヨンと弾んで抜錨ばつびょうしかけていた。


 なんてものを見せつけてくるんだ。

 こんなの平伏するしかないじゃないかっ。


 いや、だが……それ以上に“ひも”を引っ張りたい。


 俺は理性を失いかけていた。

 そんな狭間の中を彷徨さまよい続けたが、子犬だったはずの俺は呆気ないほど狼へ変身。


 木葉を壁際に追い詰めた。



「……っ!」

「ふ、風吹くん……ちょっと、これって壁ドンってヤツだよね。な、なにをする気!?」


 もちろん、その“ひも”を引っ張るのだ。

 俺は無言のまま下の方の“ひも”に触れた。



「……」

「そ、そこはダメだって!! 引っ張ったら脱げちゃうじゃん!」



 耳まで真っ赤にする木葉は、涙目ながらに少し抵抗する。けれど、俺が強く壁ドンしているから抜け出せない。


 ゆっくりと“ひも”を引っ張っていく。



「……なんて冗談さ」

「え?」


「いや、木葉が先に攻撃をしかけてくるから反撃したんだよ」

「そういうことかー…やられたぁ」



 ヘロヘロとその場に崩れ落ちる木葉。もしかして、少し期待していたのか? 残念ながら、あくまで反撃のつもりだった。


 この谷間は反則だってば。

 理性を押さえつけるのも大変だわ、こりゃ。


 それほど木葉の体は魅力的すぎたし、今後も耐えられるかどうか……心配だな。



 * * *



 背中を流してもらい、ゆっくり湯船に浸かり――風呂を出た。


 時間はすっかり深夜零時を回っていた。

 そろそろ寝よう。


 明日は、外出もしたい。



 ベッドへ入ると、ネイルをしていた木葉も作業を終えてやって来た。



「なんか爪がパワーアップしていないか、木葉」

「えへへ。がんばりすぎちゃった」



 がんばりすぎだろう。

 なんだかアンティークなデザインが入ったネイルだった。中二病みたいでカッコ良すぎ。



「スマホで世界情勢を見て回るのも飽きたし、寝よう」

「うん。よいっしょっと」


 添い寝してくれる木葉は、ほとんど目の前にいた。なんて近さ……顔が目の前にあるとか――てか、肌の艶が芸術レベルだ。もちもちのツルツルじゃないか。


 何をしたらそうなるんだか。

 肌のケアを毎日徹底しているんだろうな。すげぇや。



「おやすみ、木葉」

「うん。一緒に良い夢を……見ようね」



 既にうとうとしている木葉。

 結構疲れていたらしい。


 今日も良い一日だった。

 休日は、どんな日になるのだろうか。

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