第4話

 次に目を開くと、僕はベッドに横たわっていた。


「気がつきましたか」


 声の方に目を向ける。


 三十代ぐらいの女性と目が合った。


 看護師のようだ。


「ここは?」

「病院です」

「なぜ?」

「居酒屋を出たところで、飛び降り自殺に巻き込まれたんですよ」

「飛び降り自殺?」

「ええ。迷惑な話ですね」

「それじゃあ彼女は……」

「え? なにか」

「いえ、何も……あの飛び降りた人はどんな人です?」

「女の人ですよ。新聞に載ってるけど見ます」

「ええ」


 看護師が僕の眼前に新聞を広げる。


「そうだったのか」


 新聞の写真に載っていた女性は、間違えなく彼女だった。


            了

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

終電 津嶋朋靖 @matsunokiyama827

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ