第8話 婚約者と犯罪者が来た!
昼食を食べ午後の授業中に執事長(お偉いさん)から皇太子がやって来たと告げられた。
しかも私を刺した人ーー皇太子の側近で騎士団長の嫡男キーク・デル・ウーシエ侯爵子息と一緒に。
私は信じられない思いで先生を見た。先生もちょっと吃驚してたからかなり非常識なのがわかった。
「先触れは?」
先生が執事長に聞くと無かったと言われ、考え込んでいる。
「職務外ですが、一緒に行きましょう。」
会わないとダメなんだね。
しかも正装して。
先生は執事長と何か話し合っていて、着替えて薄化粧して出ていくと、気づいた先生にエスコートしてーーは無理だった。一階の貴賓室で待ってもらってるけど、そこ迄行く体力が無い!
先生が「仕方ない」と言ってお姫様抱っこしてきた。
恥ずかしさに叫ぼうとしたら、「階段から落ちるよ」とブリザード吹かせて私は沈黙。
貴賓室の前で下ろして貰い、
「ボロを出さないように」
と氷の目で注意された。私は高速で頷き、貴賓室の扉をノックした。
「帝国の誉れ高き皇太子殿下にマセル公爵が娘サウスリアナがご挨拶いたします。」
こんにちはの5文字ですむのに貴族となるとこんな風になる。
メンドクサ!
先生も同じように挨拶したら皇太子が少し不機嫌に聞いてきた。
「何故セルシュ殿がここに?」
まあ、気になるよね。私が皇太子でも気になる。
「マセル公爵令嬢が学園を休学されているので、授業の遅れを補うために教えていました。未だ療養が必要ですのでゆっくりとではありますが。」
「そうか。」
ん?
皇太子、私が記憶喪失なの知らない?こりゃ本当に言葉を選ばなきゃ。
「本日は如何されました。先触れがないとは余程お急ぎの用件が会ったのでしょう。」
「いや、急ぎではないのだが·····」
急ぎでもないのに先触れ出さなかったの?
「いくら皇太子殿下といえども、療養中の公爵令嬢に先触れもなくいらっしゃるのは、公爵閣下のお耳に入れば誤解を招きかねません。
それも公爵令嬢を害した者を伴い、公爵がおられない邸に訪れるのは·····」
思わせぶりに言葉を止めたね。
つまり『いくら皇太子でも連絡せず、保護者がいない怪我してる女の子の所に、怪我させた犯罪者連れてくるなんてどんだけマセル公爵家舐めてんだ!ケンカ売ってんの?!』って言ってんだよね。
「俺が頼んだんだ!」
犯罪者がいきなり叫んだよ。吃驚した。
「ウーシエ侯爵子息殿。いくら皇太子の御学友とはいえ、少々無礼ではありませんか?貴殿の行いに公爵令嬢はどれ程の恐怖を感じたか、それでも皇太子の
これ、犯罪者じゃなくて皇太子に言ってるよね。
頭沸いてる?って馬鹿にしてるよね。
犯罪者は意味が解ったらしく真っ赤になってる。
「その女がキリカを苛めたから悪いんだ!」
今、それ言う?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます