第4話
「はいもしもし?」
『あ、もし〜私〜♪』
「!?︎……姉貴かよ!何の用だ!」
『相変わらず口が悪いわねぇ〜。せっかく可愛い弟の声が聞きたくなって電話をかけてあげたのに』
姉貴は『ホテルFuckin' Tokyo』の副支配人だ。
俺自身姉貴に影響されてホテルで働いてる事もありその仕事ぶりは上々だが空気が読めないのが玉に瑕だ。
「今取り込み中なんだ、切るぞ」
『ちょっと待って!実はあんたに相談があってかけたの』
「相談?」
『うん。あんたのとこにまだ新人君いたよね?』
「ああ、いるけどそれがどうかしたのか?」
『その子がここ数日おかしいの』
「は?どういう意味だ?詳しく聞かせろ!」
『えっとね……』
姉の話を要約するとこうだった。
先日、俺の後輩の鈴木が「もう辞めたい」と漏らしたらしい。
理由は「精神的に辛い」というものだった。
ちなみに鈴木は姉貴の高校時代の後輩でもある。
「……何だそりゃ? 診断書も無いのにそんなふわふわした理由で辞められるわけないだろ」
『そうなのよ。だから理由を聞いてみたの。そしたら……』
「まさか……」
『…………』
「おい!何とか言えよ!!」
『……あー、ゴホンッ、とにかくそういう事なの。悪いけど面倒見てあげてくれない?』
「分かりましたよ。副支配人」
俺はそう言って電話を切り、鈴木にLINEを送った。
『明後日出勤できるか?俺のシフト変わってやるから。心配すんな。話は聞いてる』
送信後すぐに既読がついた。
すると次に……
『ありがとうございます!助かります!』
と返事が来た。
『了解。じゃあ明日な』
『はい!よろしくお願いします!』
よし、これで大丈夫だな。
俺は安心して溜まったアニメを消化した。
翌日。
「おはようございま〜っス!」
元気な挨拶と共に鈴木がやって来た。
「おう、よく来たな」
「すいません。いきなり休むとか言い出して」
「気にするな。それより何かあったのか?」
「実は…」
鈴木はおずおずと話し始めた。
なんでもここ半月恐らく女にストーキングされている、と言うのだ。
俺は男ならまだしも女のストーカーなら嬉しいじゃねえか、と言いそうになるのを抑えた。
いかなる立場でもストーカー被害を軽視してはいけないのと、鈴木に対するセクハラになってしまうからだ。
「警察に言った方がいいんじゃ?」
俺は一応提案してみた。
「もちろん警察には行きました。だけど証拠が無いから動いてもらえないみたいなんです。それに相手は女性ですし……」
「なるほどね。半月続けば辞めたくもなるか…ただな、鈴木は『ホテルFuckin' Tokyo』の重要な戦力なんだ。ストーカー如きに挫かれてたまるか」
「佐藤さん!」
「姉貴…副支配人に心配かけさすな」
「はい!」
鈴木は嬉し泣きしてた。
とはいえ、ストーカーに対する法理を踏まえた制裁は必要だ。
俺は常連客のヤクザの近藤さんに相談してみる事にした。
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