第5話 説明して下さい!

「この国に用ってなんですか?何で学園にきたんです?しかも王子無視しちゃって大丈夫なんですか?」


私は馬車に乗って矢継ぎ早に質問した。


「この国の用は直ぐにわかるよ。学園に行ったのはジュノーの制服姿を見たかったのもあるけどジュノーが恋しかったからだよ。王子はどうでもいい。」


本当にどうでもよさそう·····


「毎週会ってますよね。」


そう、毎週末アバドンに帰ってユピテル様と会ってます。


何故ならそれが私の望む形で留学できる条件の一つだから。




他国の王族が、ルフガルの留学時に滞在するのは基本的にルフガルの王宮になる。


安全と監視に目が行き届くように。

コルクスなんて吹けば飛ぶような国からしたら、一年間只で住まわしてくれるから有難いんだけど、ここでもユピテル様が難色を示した。


「王宮なんて魑魅魍魎の巣窟なんだよ。繊細な僕のジュノーが耐えられるわけない。アバドンの大使館に住んで!」


幾ら婚約者でもコルクスの王女としてコルクスの商品の宣伝するのに、アバドンの大使館に住めるわけないでしょ!


そんな事したらアバドンの関与が疑われるじゃない。


コルクスは小国だけど魔道具に関しては誇りを持っていて他国の干渉を許していない。


それは政治の道具にされるのでは無く、人々の暮らしを豊かにする為に魔道具を作っているからだ。


他国のパワーゲームに参加するつもりは無い。


だから断固拒否した。


そのせいで2週間、拗ねたユピテル様に監禁されあれこれされたけど·····。


そして毎週末転移魔法陣でアバドン・・・・に帰るのを条件に許されたのよ。


「週末しか会えないなんて耐えられなくなったんだっ!」


美形は苦悩する顔も絵になるなぁと阿呆な感想しか出てこない。


「だけど地獄の日々も今日で終わりだ。僕もジュノーの卒業までここルフガルにいるからね。」


あら、幻聴が聞こえてきたわ。


「ユピテル様、私ちょっと耳がおかしくなった見たいですわ。」


「見てあげるよ。」


いえ、見てほしいのでは無く発言の訂正をーー


「きゃう!」


ユピテルが耳舐めた!

やだ!齧らないで!!


「ュ、ユピテッ、あんっ!」


~~~っ言いたいのに言えないー!


「ふふっ。ジュノーは可愛いね。このまま食べちゃいたいよ。」


ヤバい!ユピテル様の目が本気モードに入りそう。


「ユピテル様。馬車の中は嫌です!メルリスもいるんですよ!」


「あ、私ならお気になさらず。」


お気にするわーーー!!


そう、ずっとメルリスがいたのよ。

それなのに人の耳カプカプしてんのよ。

このエロ皇太子は!


「お願い、ユピテル様!」


キャラじゃないけど上目遣いでユピテル様を見る。

効果は抜群ーーー


「ああ、ジュノー!何処でそんな事を覚えたんだい!!」


押し倒してきやがりました!

反対の効果がバツグンだーーー!


「殿下!もう名前で呼びませんからね!!」


スカートに潜り込んでいたユピテル様の手がピタッと止まった。

助かった。


「ジュノーごめんね。君に会えた嬉しさで理性が持たなくなったんだ。それに制服姿なんて初めて見たから。」


しゅんとした姿が可哀想になり怒りが消えそう。


ルビーの瞳が潤んで上目遣いにこっちを見てくる。


「もういいです。ユピテル様と会えて嬉しいのは私もですから」


ユピテル様の頬を優しく撫でる。


「ジュノー!」


感激したように満面の笑みを称えてまた押し倒された。


全力の腹パンをお見舞したのは理性を取り戻して頂きたかったからです。

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