第6話 ユピテル様の怒りが怖すぎる!
私の渾身の一撃も理性崩壊寸前のケダモノには通じず、王宮に着くまでずっとキスされていた。
メルリスは全く助けてくれず、平然と見てたのよ!
腰がくだけて馬車から降りられずユピテル様に横抱きにされて衆人環視の中、部屋に戻らなきゃならなかった⋯
恥ずかしくてもう王宮を歩けない!(いや、歩かなきゃいけないけど!)
着替えて歩けるようになってから待たせていたイズラール様と合流し、ルフガル王国の国王陛下の元へ行く。
ユピテル様は私とイズラール様も聞いた方が良いと言っていたから、学園のことなんだろうけど、横柄王子に関係あるの?
私達が
立ち上がり礼をしてユピテル様が挨拶をした。
「国王陛下、王妃陛下ご機嫌麗しゅう。
アバドンの皇太子ユピテルにございます。」
「久しぶりだな。」
「お元気そうね。」
両陛下は鷹揚に返して座るよう促す。
私達が座ると国王陛下がユピテル様に面会の理由を尋ねた。
「私達に相談があると言われたがどうされた。」
ユピテル様は笑顔で半年のルフガル王国滞在の許可を求めた。
「それから特別留学生として王立魔術学園の編入もお許し下さい。」
「貴殿が今更学園に通うのは聖属性の令嬢がいるからか。」
ユピテル様の発言に陛下は警戒を滲ませた。
「半分は聖属性がいるから
過去形?彼の方を見ると笑顔なのに目が笑ってない。
「ですが、今日ジュノー姫を迎えに行って耳を疑う内容を聞きました。
王子の護衛如きが私のジュノーの前でたかがと言い、一介の魔法士は私のジュノーとの面会よりも聖属性との魔法練習の方が大事だと言ったんです。」
部屋の空気が圧縮された様に重くなってきた。
ユピテル様から漏れ出ている魔力だ。
「そして聖属性の女は私のジュノーに馴れ馴れしく話しかけ、王子はその無礼を私のジュノーに許す様に強要した。」
ユピテル様!魔力漏れてます。国王陛下死にそうになってます!
後、私のジュノー連呼を止めてっ!!
「·····ユピテル様」
私の声でユピテル様はハッとしたようにこちらを見て私の体を引き寄せる。
「すまないジュノー。
怒りで魔力のコントロールが弱まってしまった。
大丈夫かい?」
「大丈夫ですわ。」
それより国王陛下達の方がヤバいです。
老齢の陛下は息を荒げ胸を抑えている。
ユピテル様の魔力を真面に受けたから、逝っちゃったらどうしよう?!
「アバドンの皇太子だとてこのような暴挙は許されぬぞ!」
「ガムビル王子への怒りで魔力が
全く反省してない言い方だけど、王室に原因があるってアバドンの皇太子に言われたらなにも言えないよね。
「それに聖属性の女が無礼にも許しを得ず私に話し掛け、護衛が剣を抜いて止めたのです。
その時にガムビル王子が剣を抜こうとしました。
どうお思いですか?」
その発言にユピテル様の魔力を受けていた王妃陛下は気を失った。
普段怒らないユピテル様を怒らすと怖すぎる!
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