第4話 なんでここに?

今の声って··········


略奪女以外が後ろの男性を認めた途端、最敬礼した。


私も倣おうとしたら手を取られる。


「ジュノー、辛かったね。まさかこんな非常識な国だったなんて。こんな無礼な者しかいないなら、やっぱり止めるべきだった。」


いや、貴方めっちゃ止めてましたから!

しかもなんでいるの?


「ユピテル様。どうしてこちらに?」


「少々この国に用があってね。ついでに僕のジュノーの学生服を見に来たんだ。」


ん?今学生服って言った?言ってないよね?

よし、スルーしよ。


「これからどちらへ?わたくしはまだ授業がありますが。」


「ああ、今日はもう帰ろうか。ジュノーにも用があるんだ。それとーー」


チラッとイズラール様を見る。

イズラール様はカーテシーをして挨拶をした。


「誉れ高き魔法帝国アバドンの皇太子殿下にカルディス公爵が娘イズラールがご挨拶致します。」


さすがはイズラール様。完璧なアバドン語を使った挨拶です。


ユピテル様はにっこり笑って礼を解かせた。


「君にも話がある。今から時間を貰えるかな?」


「光栄にございます。」


授業あるのになぁ。

でもここで言うこと聞かないと後が怖い。


「では行こうか。」


ユピテル様は王子達の礼も解かせず出口に向かう。


「あの!」


略奪女はこの空気も読まず話しかけようとしたが、ユピテル様の護衛に剣を向けられた。


「ひっ!」


「皇太子殿下に許しも無く声をかける等、礼儀も弁えられぬ童子か?!」


さすがに剣を向けられたら黙るのね。

王子達が剣に手をかけたけど、それは悪手よ。


「誰に剣を向けるつもりですか?」


ユピテル様の侍従、メルリスが王子の喉元に短剣を押し当てた。

王子の護衛騎士と魔法士にもそれぞれ首に剣を当てられてる。


「·····俺に剣を向けていいと」


「思ってますよ。だって貴方は我が君が後ろを向いてから剣を抜こうとした。自国の皇太子を守る為に私達がいるんですから」


メルリス、ちょっと無理があるようだけど、ホントに剣を抜いてたら国際問題だったもんね。


イズラール様は顔面蒼白になってるし。取り敢えず馬車で休ませないと。


「君の謝罪は不要だよ。それにそんな物謝罪で収めるつもりはないから。」


ユピテル様、激怒してるんですけど!!

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