7日目-1話

 起きてすぐ想弥は家を出た。いつものように神社の奥へと向かったが、そこに清祈の姿は見えない。


(どうして……! いつもはいたのに!)


 焦燥感が生まれる。早く清祈に会わねばならないのに。今日で、想弥は蒼月のところに帰らなければならないのに。


(思い当たる節片っ端から探すしかねぇ! 兄貴には悪いけど、最悪帰るのは明日にさせてもらう!)


 それを起点に、清祈がいるであろう場所を片っ端から探しに行く。もちろん、最初の方に二人で行った海にも向かった。それでも。それでも見つからない。


(くそ! こんなことになるなら最初にこっちに来ればよかった! 時間のロスが激しい!)


 残念ながら、夜の帳が落ち始めている。


 海、神社、清祈と共に花火を見た場所。全て探した。だというのに清祈の気配すら感じられない。


 万事尽くすと思われたその時。鞄から着信音が鳴り響いた。


「もしもし、想弥か?」


「蒼月! 今はお前と話してる場合じゃ――!」


「清祈の事についてだ。今見つからないんだろ、こっちで居場所は特定してる! 場所は久遠家。今はもう跡地になってるけど、本当の意味でお前らが一番最初に逢った場所だ!」


「その久遠家はどこにあるんだよ! それに、何でこのタイミングで――!」


「ああもう、細かいことは後だ! 要約すると、あいつにはもう時間が無いんだよ! 今どこにいる!」


「ちょうど宮倉駅降りたとこだ!」


「じゃあそっから南東に向かえ! まだ間に合うはずだ!」


 電車から降りた後の通話でよかった。語気が荒い状態で話していたし、何より乗車したままだと迅速に向かえない。


 通話を切り、スマホを握りしめたまま見たことのない久遠家へと走る。肺が痛む。ペースを落としたい。そんなこと考えるな。ひたすら走れ。


(あと、ちょっと……!)


 扉を開け、今にも崩れそうな階段を無視して最上階へと駆け上がる。そこにいたのは――

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