4日目-1話

「明日やる祭りに参加したい、だぁ?」


「いいでしょー⁉ 私だってたまには巡る側になりたいのよ!」


 祭りに行きたい、と。そういう話になってしまった。


 そもそも懲りずにまたサキの元に来た想弥も問題なのだが、それ以上に問題なのはサキだ。どんどん私欲を前面に押し出している感じがある。


「まぁいいけど……お前はいいのかよ」


「と言うと?」


「祀られる側じゃなくていいのかって話。それに、神社での祭りって大体がそこにいる神に対して感謝するものだろ? それがいなくてもいいのかよ」


「問題はあるんだろうけど、本人が満足してればそっちの方が有意義なのよ!」


「なんちゅー無茶苦茶な理論……いや間違ってはないけど」


 サキの言っていることは間違いじゃない。楽しめずに祀られるより、楽しんだ方がよっぽど気分がいい。


「分かった、同行してやるよ。待ち合わせ場所は鳥居前でいいな?」


「また一緒に行ってくれるの⁉ いいの⁉」


「最初に言っただろ」


「やった、ありがと!」


 屈託のない笑顔で言われるとどうも弱い。何故なのだろうか。別に聖人君子だというわけではないのに。

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