第4話 監禁

―――――――――頭が重い。………夢だろうか。現実だろうか。視界がぼやけて、区別ができない。

………あれ、見たことない天井だ。どこだ、ここ……。


身を起こそうとぐっと体を上げる。が、しかし、何かに引き戻されてしまった。

………手錠が付けられている。そのことに気が付いたのは、数秒経ってからだった。

鉄製の柵のついたベッドの上の方と手錠で繋がれ、両手を上げたまんまのなんとも無様な姿になってしまっている。

…………だんだん意識がはっきりしてきた。えーーーと、なんだっけ。なんで僕はここに。

……………そうだ、あいつだ。下原 玲華。あいつに、何かされて………。たしか、あの歩道橋の上で。

ちょっとずつ、ちょっとずつ、昨日の出来事を反芻する。そして、やっと一つの重大な事実に気が付く。


拉致られた!!!監禁されてる!!!!


完全に意識が元に戻った。

周りを壊れた機械仕掛けの人形のようにぐるぐる見回す。

…………なんて無機質な部屋なんだ。コンクリートで塗り固められた狭苦しいこの部屋は、殺風景とはまた違う、殺人的な無機質さがあり、えも言えぬ恐怖を感じさせる。

ベッドの隣には、小さなテーブルがあり、その上にはティッシュや生け花が置かれている。置かれてはいるが、どこか乱雑で汚らしい。

いや、テーブルの上だけではない。

この部屋全体が、正体不明の汚らわしさを孕んでいる。

お世辞にもカーペットとは呼べない布切れの上に、レジ袋やプラごみ、一升瓶が散らかっている。

……あのドアはなんだろうか。謎のドアがある。

それと、暗い。なぜこんなに暗いんだ。…………待て、窓がないじゃないか。

まさか…………地下室か?


――――――突如、胸の奥が、警報を発するように重苦しくなるのを感じた。

向こうの壁の端に、監獄のような鉄製の錆びたドアがある。

その向こう側に、………なにかいる。ガチャガチャとなにやらいじっている。

気づかないうちに、足が震えていた。……嫌だ。やめろ、来ないでくれ。

耳障りな音が響くと、のっそりと白い髪を揺らして、この部屋の主が入ってきた。

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