死んだ友へ
中下
死んだ友へ
メッセージカードをお通夜で書いたが、あの時は多少気持ちが動転していたので、落ち着きを取り戻したため、また改めて書く。
君が死んだと聞いて、自然に驚いた。と共に、あまりにあっけないと脱力した。今まで生きていた物が、突然死になって、交通事故だそうだが、なんて当たり前に死んだのだろう。
人が死ぬ!数年ぶりの感覚、数年ぶりの線香の濃い匂い、数年ぶりのお香の匂い。棺の存在感、遺影の異質さ、そして遺体!
遺体を一目見た時、「ああ、死んだのか」と、ストンと事実が落ちてきた。
半開きになった口、そこから覗いた白い歯、そして恐ろしいほど生気のない(そりゃ死んでるからだが)肌!
事実が、死の事実があそこで俺を襲う。友を失った、事実が、五感を攻める。
ただひたすらに衝撃。
一緒に来た親友の、メッセージカードを持つ手が、若干小刻みに震えるのを認めた時、その時すら事実が襲う。そして、彼もまた同様に襲われていた。
彼は、早くも切り替えを行ったが、依然として心は不安定だ。これはメッセージカードにも書いたことだが、ちゃんと見ておいてくれ。俺も責任持って面倒見るから。
君には、長生きしてもらいたかった。
エイペックス、あの世でもやろうな。
死んだ友へ 中下 @nakatayama
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