第50話 最終話

「ア・ダ・ム」


 夫婦の寝室に顔だけひょっこり出すと、寝間着姿で書類を見ていたアダムがフワリと微笑んで顔を上げた。


 アダムと知り合ってから丸々二年が過ぎたけど、男ぶりが上がる一方のアダムは、無駄な色気を振りまきつつ年頃の貴族子女に絶大な人気を得ていた。

 アダムのその甘い美貌と鍛えられた靭やかな肉体も人気の元ではあるが、なによりも私だけを妻にすると誓い、一途にそれを守っている姿に、乙女達のトキメキが刺激されるらしい。しかも、相手がこの私だからね。自分だったらもっと……とか、妄想が爆裂しちゃうんだろうさ!


 二年の月日は、私にはあまり意味がなかったというか……、ぶっちゃけ縦にも横にも前後にも、全くこれっぽっちも成長が見受けられなかったんだよ。


 あと二年待てば、いきなり身体が成長する?有り得ないでしょ。私の成長期は終了よ終了!だいたいね、女子のが成長期は早いんだからね。十六歳でこれなら、十八歳まで待っても変わらんから。内臓の成長?そんな外から見てもわからないもの知らんよ。生理は順調、重くも軽くもないから内臓の成長もバッチリなんじゃないの?


 というわけで、私は今晩をアダムとの初夜にすると決めました!決めたったら決めたの。


「ロッティ、誕生日おめでとう」


 私が部屋に入ると、アダムは立ち上がって私の前まできて、屈んで頬にキスしてくれた。


「ありがと」


 私も背伸びしてアダムの唇にキスを返す。


「知ってる?最近は溺愛が流行りなんだって」

「溺愛?」

「そう。貴族でも第二夫人や愛人を持つのはよく思われないらしいよ。前はさ、どれだけ愛人を囲えるかがステータスみたいな面があったらしいんだけど、今は真逆なんだって。そのうち一夫一婦制になるかもしれないよ。アダムの影響だね」

「まぁ、陛下も今は母上だけだから、僕だけの影響じゃないだろうけど。というか、ロッティ、どこ触ってるの」


 アダムに手首を捕まれ、動きを制限される。それでもサワサワと指先だけでアダムのアダム君をコショコショする。


「前に言ったよね?子供を作る行為は、ロッティの身体の準備がちゃんとできてからだって」

「でもねアダム、私の身長と体重、二年前と全く変化ないんだけど」

「え?……いやいや、だから悪戯は止めようか。僕だってかなり頑張って我慢してるんだよ」


 驚いたアダムの手が緩んだ隙に、ちょろっと強めにコショコショすると、我慢している筈のアダム君も我慢の限界をむかえたらしく、ムクムクと自己主張を始める。


「それ、無駄な我慢だから」

「無駄なことは……な……い」


 ヤバイ、涎出そう。


 ナニをしているかはお察しください。ある程度アダムを堪能してから、ジャジャーンと効果音をつけて瓶を取り出した。なにが入っているかというと、そう!コンドーさんだ!!


「そ……それは」


 水の中でフニフニ浮く白っぽい紐状の物体。アダムはなんとなく形状で想像がついたのかもしれない。コンドーさんを凝視して、水の中で動く度に瞳も動いていた。


「コンドーさん七号です!」

「七……号」

「そう!開発に開発を重ね、ちゃんと臨床試験もバッチリ」

「臨床試験?!誰で試したんだ?!」


 アダムは私の両肩を強く掴み、揺さぶるようにする。目がすわっていて、いつもの温和なアダムとは別人のようだ。


「アダムパパリンとアダムママリンだけど」

「……あ……あ、うん。あんまり両親のそういうのは考えたくないな」

「大丈夫、これは新品だから。三回までは繰り返し使っても破けないらしいよ。五回は止めた方がいいって言ってた」

「そう……なんだ。……五回も試したのかよ」


 アダムは項垂れてしまった。ついでにアダム君も。


「子供を作るのは十八歳解禁にすればいいけど、できなきゃ今だって良くない?良いよね?ってか、私が我慢できない!」


 アダムをベッドに突き飛ばしてその上に跨がる。


「ね……しよ?」


 合意は大事だからね!


 アダムの上で腰を八の字に動かして刺激し、指先でツツッと胸の尖りを引っ掻く。アダムは両肘をベッドにつき、仰向けの状態で苦悶の表情を浮かべる。


「……夫婦だからいいのか?でも十六歳相手に……」


 アダムは何やらブツブツつぶやいて、だいぶ葛藤しているようだ。


 もう一押しか?


「私ってそんなに魅力ない?アダムは私じゃその気にはなれない?」


 着ていたガウンをスルリと脱いだ。もちろん着ていたのはエロエロ下着、大人のベビードールを私サイズに直してもらったものだ。エミリヤ様とロザリーの力作で、二人が私の為にリメイクしてくれた。他にも五着くらいもらったが、今着ているのは初夜をイメージした純白のベビードールだ。スッケスケだよ。刺繍がうまい具合に乳首と下半身は隠してくれてるけど、ちょっと動けばチラ見えするお色気ムンムンのやつ。


 アダムの視線は私の胸に釘付けになり、ゴクリと喉仏が上下する。


 私はアダムの首に手を回すと、唇にそっと唇を寄せ、アダムはゆっくりと後ろに倒れて、私のことを抱きしめてくれた。


 ★★★


 コンドーさんの耐久性が五回はもたないというのは立証された。立証されたのはいいけれど、その時のアダムの慌てようはなかったね。

 まあ、三日後にちゃんと生理がきたからセーフだったんだけど、アダムのホッとしながらも残念がっていた様子に、コンドーさんの出番は一年くらいでいいんじゃないかなって、私は密かに思っていたりする。


 そして、私達の前世がリンクしていたことも、最初の交わりの時に発覚。だって、お互いにあまりにデジャブなこと(テクニック的な面で)が多すぎて、つい私が「シンさん!」って叫んじゃったからなんだけどね。


 私が一番のアダムのトラウマだったって知ってびっくり。

「イッてる最中に逝けて、気持ちいいしかなくてラッキーだったけどな」って笑って言ったら、アダムは少し泣いた。

 前世の私の不摂生ぶりを暴露して死んじゃった理由を話せば、お酒は二度と飲まない、健康に気を使った生活をすることを約束させられた。もちろん約束もするけど、私は絶対に死なないということを証明してみせると……まぁけっこう頑張っちゃったわけよ。お互いにね。


 アダムのトラウマは完治し、私達のめくるめく官能の世界はこれからも続きますから!

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【完全版】王女に転生したセクシー女優は、めくるめく官能の世界を堪能したい! 由友ひろ @hta228

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