第24話 【国王様゛のお話】―4

「国王陛下! 時はまさにアザトーイ王国最大の繁栄の時を迎えておりますな!」

「そうであろう。俺様は内政の天才だからな」


 今日も謁見の間にはサディスティア王国のキモデブ外務大臣が来ていた。名はダマ・スーン・ダマとかいう。


「市場は高級志向。貴族の方々が大盤振る舞いで賑わっておりますぞ」

「お主が言うように、高級品の購入税を下げたら、貴族共から大変喜ばれたわ! 人気者は辛いのう」


「購買意欲を掻き立てるのは大切ですぞ」

「うむ。減った税金は企業税と労働税を上げたからな。国の財政にはなんの問題もないしな!」

「貴族がお金を市場に落とす事で経済が回るのです」


「ガハハハ。そうじゃそうじゃ。貴族共を味方に付けた俺様は最強の王様だな! お主の1〇コインショップやらも盛況のようだな」

「お陰様で、毎日品薄状態で店舗数を増やしております」

「ふん、庶民共はしみったれた安物買いとは卑小だな」


 全くもってくだらない。貴族が経済を奮い立たせている時に、庶民共は何をしているのだ! 稼いだ金で、美味い物を食い、酒を飲んで、女に高級品を贈り、女を抱く。それが人生を楽しむというものだ!


「労働税が上がりましたので、給与が目減りしているのが原因でしょう。男性労働者も労働時間を伸ばせば賃金も増えるかと」

「うむ。そうだな。男共も労働時間を倍にしてやろう。何なら労働税で寝泊まり用の毛布でも支給してやるか。これで毛布屋も儲かるだろう。やはり俺様は内政の天才だな!」


 俺様の政策は完璧だな。金を使う気がない庶民は、昼夜働けばよいのだ。それでおれさまが潤うのなら、国民も満足するだろう!


「ところでキモデ……ダマよ。アッヘーンは持ってきたか? あれを食事にかけないと、不味くて不味くて舌が腐る思いだ」

「はい。本日は前回の倍の量を持参致しました」

「オウ、でかしたぞ! 褒美を与えよう。金以外の事で何か欲しい物はあるか」


「おお、それでしたら先ほどの毛布は私めに用意させて懐きたく存じ上げます」

「そんなつまらない物で良いのか?」

「本国への良い土産となります。毛布一万枚で如何でしょうか」

「よい、よい、好きなだけ作ってこい」

「ありがとうございます、国王陛下」



【ある男の独り言】

 ククク、あの馬鹿王子は非常に御し易い。身の程もわきまえずに贅沢三昧。自国の金が無くなっている事にも気が付いていないようだ。


 厄介者のルミアーナ王女は国外追放、内政大臣だったロックフェラー子爵も更迭された。


 アッヘーンも気に入って頂いたようで、吾輩の傀儡となって貰いましょうか。


 グワハハハハハハ


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