11 うたたね

 見た。

 見てしまった。

 息子がルナと遊ぶ姿を。

 珍しくハッスルしている息子の声に、そっと門の中に体を滑り込ませた。いつも仏頂面はどうした息子よ。

 庭にいるらしきルナと息子を壁の影から盗み見る。ボールで遊んでやっているらしく、時折いいぞ、よくやった、いい子だ、と声がする。ルナはルナで嬉しそうに、わふわふと跳ねまわっている。

照れ屋な息子に見つかる前に家の中に入ると、壁際の水槽が目に入る。ミチルさんは相変わらずマイペースだ。だが、心引かれるところがあるのか、庭の方をじっと眺めている。

「ミチルさん」

なあに、と言いたげに首を回された。目蓋をパチパチする仕草は案外かわいい。

「幸せね」

首をひねったままミチルさんは私をじっと見つめた。

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