4 無駄な努力も時にはよい
若い男女が絵本を読みあっている。微笑ましい。
二人とも俺の養い子だ。色々な事情があって預かることになり、当時は葛藤もしたが今はもう受け入れている。二人は二人でなければ既に何処かで死んでいただろう。それをわかっているからこそ、今の穏やかな時間がとてもいいものに思える。
「リロ、ミカ」
呼ぶと転がるように寄ってくる。
「今度お祝いをしよう。リロの十六の誕生日だ」
顔を輝かせる二人の頭を撫でる。十六まで生きられないと言われていた少年は魔導書を読み耽り、自身で道を切り開いた。魔力を譲渡され異世界から現れた少女は、彼の想いに触れ、後ろ向きな考えを変えていった。
徒労に終わった俺の努力が少し寂しくて、だけど誇らしい。
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