2 私の居場所
この世界は私の居場所ではない。
心に積もった苦い思いは年を経ても消えることはなく、おかげで私は人間関係をこじらせた。
唯一居心地よかったのは小さな図書館だった。何時来ても見守ってくれるやさしさと、館主の無骨な態度が心地よかった。
それからは本を読みふける日々。本は世界を忘れさせてくれた。人の感情を失くしたわけではないので、感動も怒りも思い出させてくれる話に私はのめりこんだ。異世界の話は特に現実を忘れさせてくれた。
その日も一冊の本を手に取った。中を捲った途端、眩い光が私の視力を奪った。
眩しさが収まった頃、恐る恐る目を開ける。見知らぬ少年と目が合った。血の気が引いた。
この世界は私の居場所ではない。
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