300字SS
ケー/恵陽
1 魔導の声に惹かれしもの
謳いあげるは願いの言葉。
声を枯らすほどの声量は必要なく、ただただ純粋な思いの丈をのせていく。魔の波動は地に沈み、天に打ち上げられ、空間を歪ませる。
願うのは僕の生存。
この非力な僕が生き残る唯一の手がかり。魔力が多すぎる僕が短い生を厭うなら魔を吐き出さなければならない。魔導書にはそう記されていた。だとしたらこの方法しかない。
僕は生きたい。まだ十五に満たない年ですべてを達観できるなんてことはない。魔力なんていらない。僕を育ててくれる人と居られればいい。
謳う。
謳う。
その先に魔王が居ても勇者が居ても構わない。僕の魔力を食べてくれ。
やがて現れる輪郭に、僕の体から魔力が大量に抜けていく感覚がした。
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