第6話 ダンジョンアタック中の戦闘ですが、これは狩りです。

 ダンジョンから帰る方法は基本的に徒歩である。

 もう一度言おう、徒歩である!!

 入口に好きな階層に転移する事は出来る転移石はあるのに帰りはないとか・・・なんというか甘えるなと言われているようにしか思えない。

 「まぁ別に俺達の場合は、俺がアイテムボックスを持ってるからそんなに困らないけど・・・」

 因みにアイテムボックスとは所謂インベストリーとかそんな感じで言われる定番の不思議な収納空間である。

 これが無ければ俺達も鉱石採取などあまりやらないだろう。

 そういえば冒険者ギルドの登録試験の時のレイミィをイジメた上級冒険者だが、奴はあの場で俺に顎を粉砕骨折にされたので、そのまま引退したらしい、まぁ正直自業自得としか思えなかったからな、あまり気にしていない。

 本人もなんというか逆に珍しい嫌われ者だったからあまりみんなから声をかけてもらえなかったようだ。

 泣きっ面に蜂とはよく言ったものよ。

 まぁそんなこんなで、数少ない上級冒険者を一人引退に追いやったので俺も父ドルフと同じくらい嫌われているが、流石に俺は怒らせたくないようだ。

 すぐに土下座に来たからね、初めて見たよ生土下座・・・

 恐らく、俺が冒険者にならないと言われるのが怖かった模様。

 上級冒険者を拳一つで粉砕したからね、一応今と同じ獲物を使って模擬戦もしたのだけれど・・・

 間違って相手の獲物ごと真っ二つにしないようにヒヤヒヤした。

 やはりステータスは上級冒険者で恐らく300〜400くらいだと思われる。

 そして、この世界で強くなるにはどうするか?

 5つの経験値ポイントがあってそれを消費してステータスやスキルや技能を習得するといった流れになっている。

 この経験値ポイントは行動や経験、思考に睡眠までありとあらゆる事で手に入るモノでかなり大事なモノになる。

 適当に使っていると、器用貧乏になったり、或いは一つの事しか出来ないなど今後の人生に大きく関わるモノだ。

 だから現在、俺は全部のポイントを一度も割り振っていない。

 まだ今の状態でも全然どうにかなるからだ。

 レイミィの方は考えながら習得したりしているようだが、俺はまだ祝福だけでどうにかなると思っている。

 現在の俺達の装備は全て父ドルフが造ってくれた装備だ。

 俺の武器は長柄の大斧で名がバルグレイブという戦斧である。

 更に左手には俺の身体が見えなくなるくらいの大型の盾を持っておりこちらの名がシェルターである。

 更に鎧はミスリルメッシュ、ミスリルの鎖帷子にレイクアリゲーターの革の全身鎧、アリゲーターフルメイルを重ね着しており、見た目の割には結構な重装備である。

 レイミィはミスリルのローブや服を始めとした、ミスリルファッションに見を包み、これまた父ドルフ特製のミスリルの魔法槍杖、ミスティランサーを手にしている。

 この槍は杖の機能を殺さずに保持しており、レイミィの魔法をかなり強化している。

 本当であればもっと駆け出しの装備を貰う予定だったが、というか冒険者ギルドに登録に行った時は駆け出し装備だったが、例の方々が父を挑発したせいで、2人揃って現在のこの装備になった。

 レイミィの装備はつい最近、先日作ったばかりの品だが、俺の装備は過去に父が作った作品であるらしい、扱える奴がいないから倉庫の肥やしだったようだ。

 確かにこの重量の装備を身に着けれるのは俺くらいだろう。

 レイミィは火属性と水属性の魔法系スキルと回復魔法を習得したらしい。

 只、現在は俺と共に物理で戦っているので、その出番はないままだが、それでも槍術のスキルも手に入れたそうなのでこのままのスタイルでやってみるそうだ。

 俺はそもそもの基本的なステータスが高いので何が必要なのか分からないのが問題だ。

 特に経験値ポイントを割り振らなくても経験だけで能力が上がったりもするようだが、それだけでも超強化に等しいからこそ、俺は自分のスタイルを決めれていない。

 現在はレイミィを守るために正面からのタンクアタッカーをやっている。

 とりあえず現在の装備と課題がわかった所で、俺達はダンジョンを上がっている。

 現在は3階層、通称食肉エリアである。

 もう一度言おう、食肉エリアである!!

 このエリアは文字通りに食肉適した魔獣しか出てこないのである。

 ここで肉を狩り、その場で解体して喰らい、そして、お持ち帰り用を大量に狩るのである。

 乱獲など気にするな、ここはダンジョンの中故に外の魔獣は似て非なるものなのだから、容赦なく狩り尽くしても問題はないのである。

 「さぁ肉を狩ろうか・・・」

 俺が戦闘に立ちそう告げると、

 「肉丼、肉鍋、ステーキ、焼肉パラダイス☆」

 レイミィもやる気のようだ。

 「酒のツマミに幾つか取っておけよ?干し肉に漬け肉は酒のお供だ!」

 父ドルフもやる気満々で肩を回す。

 そんな正に貪食グラトニーと言って差し支えのない3人が今、狩り場を狩り尽くす為に動き出した。

 冒険者ギルドに提供する為にウルフとボアをメインに狩りながら、大物を探す。

 俺の狙いはマックスミートベアー、分かりやすく言うと肥えた熊だ、だが、強い熊だ。

 素晴らしい肉の旨味と甘みを持っており米と合うのだ!

 後、この世界にはしっかりと米は存在している、ダンジョン産の物しかないが自分で穫れば全部タダなんだから獲りに行くに決まっているじゃないですか!!(必至)

 その時に乱獲してもまた次の日には元に戻っていることを知ったので一切の遠慮をすることをやめたのである。

 天然物の米が存在するかは正直分からない。

 だからこそ探してみるのも冒険の醍醐味だと思うんだよね。

 今のペースでレイミィが強くなるときっと外の世界についてこれると思うからレイミィとは旅立った時どんな物が必要になるか相談して現在少しずつ集めている最中である。

 その事は後にして、俺達はなんとバラバラに散開して狩りを始める。

 理由はこのエリアはトラップが無い事と単独だと魔獣の方から襲いかかってくれるからである。

 一定の素材採取エリアはトラップが無いというとても優しい設定なので安心して狩りが出来る。

 「それじゃあ狩りと行きますか!」

 俺は真っ直ぐ正面に森が見える方へ走りながら、周辺を確認する。

 すると、森ウルフが茂みから群れで襲ってきた、その数凡そ30程。

 だが、そんな事は関係なく、

 「いぃぃぃよっっしゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 俺は気合と共に戦斧を一閃して不意打ちで飛び出した、手前5匹を仕留める。

 「次ぃ!!」

 そう言って俺はすぐ側のウルフ、2、3匹に戦斧を叩きつけ、隙があるように見せつける。

 すると今度は10匹以上で俺に襲いかかるが、内8匹が戦斧の餌食にかかり残りは盾で殴られて絶命した。

 ポイントを割り振らなくても身体能力を上げることは出来るから結構強くなっていると自分でも思っている。

 毎日の基礎トレは欠かしてないからな。

 それから更に森の奥に潜る事しばし、目的の獲物を発見!!

 体長5メートル級のマックスミートベアーを発見した。

 相変わらず力士みたいなお腹が特徴の熊である。

 だが、実は奴の体脂肪はそんなに高くないのである。

 奴の身体は柔らかくも強靭な筋肉で覆われており、このエリアでも屈指の強さを誇る。

 そんな奴に俺は正面から突撃する。

 「しゃあ!!肉置いてけー!!!」

 俺の言葉を理解した訳ではないだろうが、マックスミートベアーは必至な様子で転がっていた。

 「ちっ!?」

 俺は舌打ちして構え直し、

 「しゃあ!!」

 再び打ち込むと、

 グルぅアァァァァァ!!!

 と吠声を上げながら正面からの一撃に対抗してきた。

 グルぅ!?

 それを弾き飛ばして俺は、再度戦斧を振るい右腕を切り飛ばした後に理解出来ず、反応出来ない熊の首を刈った。

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