第2話 そして、時は流れて(定番)

 ドワーフ族のスミス一家の子として引き取られた俺は、シルヴァ・スミスとして生きていくことになった。

 尚、この世界はファンタジーの定番種族は軒並みいるようだ。

 現在の家族は俺以外ドワーフだし、エルフも獣人、小人や巨人など様々な人種がいるようだ。

 もちろん、魔族や天族なんかもいるようだが特にこれといって危ない種族ではないらしい。

 そして、今の家族で父であるヒゲモジャドワーフのドルフ・スミス、母は見た目?はロリドワーフのエルカ、そして何歳年上か分からない姉のリア。

 尚、父ドルフに歳を尋ねる事もタブーとなっております。

 まず母のエルカに勝てんのよ、父が・・・そして、背後で暗躍する娘のリア、弟を洗脳しないでください。

 姉が弟にやる定番を俺にやらんでおくれ、いや奴隷とかじゃないからまだいいけど、自分の理想の男像を弟に刷り込まないで!?

 こんな感じの日常を数年程の時を過ごし、ある程度の読み書きとお金の計算が出来るようになると、お店のお手伝いが始まるが、

 「母さん、これどこに置くの?」

 俺が結構多めの荷物を持ちながら、母エルカに問いかけると、

 「ちょっ!?シルヴァ、無理しないの!?怪我するから一旦下ろしなさい!?」

 母エルカが慌てて俺にそう叱る。

 「どうかしたの?母さん?」

 俺は母がどうして慌てるのか分からず問いかける。

 「どうしたのって、その荷物の中身は鉱石よ?重くないの?」

 母エルカが心配そうに俺に問いかけるが、

 「いや、全然重くないよ。あれ?母さんは持てないの?」

 俺が首を傾げながらそう聞くと、

 「母さんでも、1個ずつじゃないと怪我しちゃうわ。お父さんならシルヴァと同じ感じで運ぶと思うけど。」

 それを聞いた俺は、

 「そうなんだ、・・・まぁとりあえず運んでおくね?」

 「少しずつでもいいからね?怪我しないように無理しないで運びなさい?」

 「は~い。」

 そう言いながら俺はまた荷物を持って奥にある物置に荷物を運んだ。

 この時、俺はまだ6歳である。


 そこから更に4年程、俺は父ドルフとダンジョンに潜ることになった。

 まず俺の身体能力が物凄い事がわかった。

 どれくらい凄いか、頑強なドワーフ族である父ドルフと腕相撲で勝ってしまったのだ。

 それから父は3日程悩み、

 「シルヴァ、今度ワシと一緒にダンジョンに潜れ。」

 急に脈絡も無くそんな事を言ってきた。

 もちろん、母エルカの右ストレートが炸裂したのは当然の流れであった。

 父ドルフに理由を聞くと、

 「シルヴァの能力はおそらく軒並みワシよりも高いだろう。いざという時の為に今からダンジョンに潜り自分の異常性を認識したほうがいい、ヘタな奴とパーティを組むとお互いに危ないからのぅ。」

 俺は父のその言葉を聞いて、

 「父さんは俺が冒険者になると思ってるの?」

 と、父に問いかけた。

 今、話に出た冒険者とは、探索者、冒険家、狩人、傭兵、開拓者などと呼ばれる者達の総称である。

 普通はダンジョンの方が難易度が高いように思えるが、父ドルフが語るには、

 「ダンジョンよりも外の魔物の方がずっと強い。ここで俺の後を継ぐにしてもお前は人族である以上、寿命の関係で恐らく俺よりも早く天寿を迎えるだろう。なら、お前のその才能と呼んでいい身体能力を鍛えて世界を旅して、珍しい物でも持って帰ってこい。」

 父の考えを聞いて、俺は悩んだ。

 確かにこの家族の元を離れて、旅をすることも考えた。

 だが、外の魔物はダンジョンよりも強いようだと聞き、直ぐ側にあるダンジョンに潜ってからその答えを出そうと考えていたので、父にそのことを伝えると、

 「しっかりと考えているのならそれでいい、どうする?ダンジョンに入ってみるか?」

 しばらく俺はその事を考え、行こうと言おうとした時、

 「あなたの考えはわかりました。ですがダンジョンに行くのはシルヴァが神託の儀を受けてからです。」

 神託の儀とは歳が10になった子ら全員行う儀式である。

 分かりやすく言うと神様から自分の才能を教えてもらえるのである。

 だから習い事をする、或いは将来の職業を決めるのは基本それ以降に決めるのが世間一般的となっている。

 「確かに、今のままじゃ何を伸ばせばよいか分からぬか、ならそれを終えたら潜るとしよう。それまではいつも通りワシとエルカの手伝いじゃな」

 リア姉もここにいたが、

 「シルヴァ、あまり危険な事はしないでね?」

 と俺に心配をかけてくれてた。

 とりあえず答えが出るまで、俺は今まで通りに過ごすことにした。

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