異世界転生したら幼子で詰んだと思ったら拾われました。~女神様にお詫びチートを貰いましたがこの世界、俺でノーマル、普通の人だとヘルモードも真っ青だよ!?でも狩れば美味しいお肉です~

@kikuhitohira

第1章 始まり

第1話 思えばあの時が・・・

 ふと気付くと自分が立っていることに気付く。

 文面として書くとおかしいように聞こえるかもしれないがそうとしか言えない状況だった。

 周りの風景に見憶えがなく、建物が随分と大きいように思える。

 自分の足元を見ると、

 「地面が近っ!?」

 更に自分の手が小さい事で今の自分が子供になっていることを把握する。

 「なんで?う!?・・・」

 把握できたからといって、納得や理解が出来る訳も無く、訳も分からずまま今度は空腹感に苛まれる。

 「ヤバい、目が回る・・・?」

 揺れる視界に遠のく意識の中、どうしようもなくて諦めて目を閉じようとしたその時、

 「坊主、これでも食うか?」

 声がした方に目を向けると、

 「・・・クマ?」

 視界がボヤケているからかクマのように見えた。

 「クックックッ、ワシを熊などと言うか・・・まぁ良い、これでも食っとけそんでワシの家に行くぞ。」

 口にパンをねじ込まれ片手で担がれたまま俺は運ばれる。

 口に入ったパンは、

 「・・・旨っ!?」

 とても美味しかった。

 安心したのか、腹が満たされたからか。

 「・・・スゥ〜・・・」

 俺の意識は秒で落ちた。

 「寝たか、さて、あいつにはなんて説明するかのう?」

 毛むくじゃらのクマではなく小柄なおっさんは晩飯の買い出しの帰りに拾った幼子を担ぎながら家で待つ相方の説得方法を考えつつ、自らの家に向けて帰途についた。


 次に目覚めるとそこには知らない天井があった。

 「って定番ネタか!?」

 そう言って俺は体を起こす。

 周りを見渡すと何処かの民家のようであった。

 「あら?起きた?」

 扉を開けて入って来たのは自分より一回り年上の少女だった。

 「あ!?あの子が起きたの!?おと〜さ~ん!?目が覚めたって〜!?」

 奥から先程入って来た少女にそっくりだが彼女より一回り小柄な少女が大きな声で誰かを呼んで中に入って来た。

 「あなた、名前は?」

 正に興味津々と言った様子で彼女は俺に問うてきた。

 「知らない、気づいたら立ってた。」

 俺がそう答えると少女達は何故か辛そうに、

 「そう、お父さんやお母さんの事も分からない?」

 「知らない」

 彼女たちの質問に俺がそう答えると、

 「坊主、今日からお前の家は此処だ!」

 急に入って来た毛むくじゃらのおっさんがそんな事を言ってきた。

 「なぜ?」

 なんでこんな面倒な事をする?

 そう問いかけようとしたら、

 「ってことは、この子は私の弟!?」

 小柄な方の少女が俺に抱きついてそんな事を言い出した。

 「この歳で子供が増えるなんてね~、でももう一人くらいはまだイケると思うのだけど?あなた?」

 先に入って来た方の少女が毛むくじゃらのおっさんにそう枝垂れかかる。

 どうやら二人は夫婦のようだと少女にハグされながら思考する。

 「あっそうだ、今のまま名前がないと大変だから、名前を決めちゃおう!」

 そう言って彼女は俺をじっくりと見て、

 「ゴールドドラゴンキングはどう!?」

 「嫌だよ!?どういう名前をつけようとしてんの!?」

 唐突な爆弾発言に俺は思わず叫ぶ。

 「というか俺にゴールドの部分もドラゴンキングの要素もない!?」

 俺の必至な言い分を聞きながら、

 「そうだな、その髪色だと普通にシルバーだろう。」

 おっさんもとい俺の父になった人がそう言った。

 「でも、色だけでその名前もね・・・ならシルヴァって名前ならどうかしら?」

 俺の母になった少女は俺にそう告げると、

 「なら、シルヴァ・スミスね!?」

 「・・・わかった、それでいい。」

 選択肢があまりにも少ない俺はそう了承を告げるのだった。

 スミス一家の一員になる、それが俺がこの世界で生きて行くための一番最初の出来事だった。

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