第25話
■side:琵琶湖スポーツ女子学園1年 三峰 灯里
―――残り時間 3分
「梓さんと恵理さんで全面をカバー!とにかくこれ以上押し込まれるのはマズイですわ!」
藤沢先輩の声が響く。
残り時間が3分を切ったアナウンスが鳴る。
未だ点数は『980 VS 980』のままだが、状況は圧倒的不利になりつつあった。
「北側は何とかなってる!」
「南はギリギリ!これ以上中央押されたらこっちも危ない!」
晴香さんと大場先輩の声もいつもとは違い必死そうな声をしている。
私は撃ち合いに参加しつつも自分の不甲斐なさで死にたい気分だった。
*画像【工業区:大神攻勢】
<i529576|35348>
試合開始直後、それなりの緊張感を持ちつつとりあえず事前に決めた場所へ移動していたのだが気が緩んでいた。
お互い配置についてから撃ち合いが始まる。
どこかでそんな気持ちがあったのだろう。
そんな気の緩みを狙われ、早々にヘッドショットで撃破されるという失態を演じてしまった。
みんなに迷惑をかけていることは解っている。
それでも全国の強豪校との撃ち合いを経験し、少しはマシになっていると思っていた。
それがこのざまだ。
残り時間30分を切った辺りから相手が何度も仕掛けてきた。
綺麗に揃った隊列を組んだ相手が何度も変化を入れて迫ってくる。
序盤に見た装備ではない人間が増えていたので、恐らく何人か交代したのだろう。
非常に上手い押し引きを何度も何度もされるうちに気づけばかなり押し込まれてしまっていた。
本来なら自分がそれらを食い止めねばならないのにそれすら出来ていない。
そして無常にも時間だけが過ぎていく。
「……このままじゃ終われない」
スグに個人間通信を操作する。
「へ?……っとと。個人間?どうしたの灯里ちゃん?ごめんだけどあまり返事してる余裕ないかも!」
私の前で壁になってくれている恵理ちゃんが何とかといった感じで返事を返してくれた。
「ごめん、こんな時に。実は―――」
そうして彼女に自分の考えていたことを話す。
何度か悩む声を出した恵理ちゃん。
そして―――
「先輩達が許可してくれるならいいよ。私もこのままじゃ終われないもん」
「ありがとう。じゃあ確認するね」
恵理ちゃんにお礼を言うとスグに全体通信に切り替える。
「藤沢先輩、新城先輩……ちょっといいですか?」
「何かしら?」
「おっと、どうした?」
「お願いがあります。実は―――」
私は恵理ちゃんに説明した内容をもう一度説明する。
「……無謀ではなくて?」
「上手くいく可能性がねぇ……」
「でも、このままじゃジリ貧です!……お願いします!」
「私からもお願いします!」
恵理ちゃんも一緒になって頼んでくれる。
否定的な2人の気持ちも解る。
新人2人が責任を感じて博打を打とうというのだ。
しかしそれでも私は、これしかないと思っている。
「……やりたいならやらせればいい。でないとその2人は一生後悔を背負うかもしれない」
予想外の所から援護の声が出た。
アリスさんだ。
「……でも」
「言いたいことも解りますよ?序盤でトチった新人がそれを何とかしたくて必死になってるから心配なんでしょ?」
「……えっと霧島ちゃん、言い方が」
「言葉を飾ってどうするんです?そろそろ相手ブレイカーも冷静になる頃ですよ?」
アリスさんは、相手のブレイカーを抑えると言ってスグに相手の持つライフル銃を狙撃して弾き飛ばすという芸当をしたらしい。
するとそこそこ遠かった自分にも聞こえるほど大きな叫び声が聞こえたと思ったら相手のブレイカーはアリスさんしか狙わなくなった。
おかげでそれから狙撃に怯えずに済んでいる。
今も『リボルバーで十分だわ』と言い出し、相手ブレイカーのヘイトを稼ぎまくっていた。
「……解りましたわ」
「あら、良いの花蓮?」
「彼女達もここまで一緒に戦ってきた仲間です。それを信じなくて誰を信じるのです?」
「ははっ、違いないね」
どうやら2人とも賛成してくれるようだ。
「灯里さん。恵理さん。お2人の作戦を許可します」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「ただし!私と梓さんがカバーに入るというのが条件です!」
「構いません!お願いします!」
「よし、じゃあ2人とも行ってこい!」
「では、行きますッ!!」
新城先輩の声に後押しされる形で、私は恵理ちゃんと共に飛び出す。
相手のアタッカー2人は、いきなり飛び出してきた私と恵理ちゃんに反応して素早く迎撃をしてくる。
恵理ちゃんが持つ大盾は既に半分凹んでいたが、一斉攻撃を受けてボロボロになり弾が貫通し始めていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
集中攻撃を受けながらも盾内蔵のマシンガンを乱射しながら敵に突っ込む恵理ちゃん。
そのまま相手アタッカーの1人に体当たりをしつつゼロ距離でマシンガンを撃とうとするが、手前側に居た相手アタッカーに冷静に攻撃を当てられ耐久度切れで撃破されてしまう。
◆キル
× 滋賀琵琶湖:宮本 恵理
〇 東京大神 :大野 晶
恵理ちゃんを倒して一瞬気が緩んだであろうアタッカーの1人にそのまま突っ込みライフルを連射する。
相手は、恵理ちゃんで私が見えていなかったようで慌てて応戦しようとするが恵理ちゃんが撃ち込んだマシンガンで大きく耐久値が減っていたことでスグに撃破判定となって消える。
◆キル
× 東京大神 :西井 愛
〇 滋賀琵琶湖:三峰 灯里
相手側のもう1人のアタッカーは私がそのまま下がらずに突っ込んできたことに驚きながらも冷静にアサルトライフルを撃ってくる。
だがそれを回避せずダメージを受けながら私は相手に突撃する。
「いっけぇぇぇぇぇ!!」
途中で手に持つアサルトライフルを投げ捨てると腰にある着発グレネードを手にしてピンを抜く。
これは、大阪日吉がやってきた自爆戦術だ。
相手は、一流プレイヤーだ。
私とでは埋めようがない明確な技量差がある。
とてもではないが押し勝つなど出来はしない。
だからこそ、恵理ちゃんに頼んだのだ。
『囮になって死んでくれ』と。
そして2人でようやく1人を倒しても残り1人を処理出来ないのも解っていた。
だからこそのコレだ。
私は、グレネードを持ったまま相手に突っ込んだ。
■side:私立大神高等学校1年 大野 晶
「このままジワジワ押し込めば相手は崩れるッ!最後まで気を抜くなッ!!」
「了解!」
香織の言葉に全員で返事を返す。
……おっと白石先輩を除いてだ。
あの人は、もうアリスしか見ていない。
いつまでああしているつもりだろうね。
まあもうどうでも良い話だ。
香織の指揮で何度も相手に素早い押し引きを仕掛けて連携を崩し、少しづつ追い込んでいく。
その結果が今のこの状況だ。
流石は我らU-15のリーダーといったところか。
相手側も押し込まれつつも上手く連携をしてギリギリの所で耐えていた。
途中こちらはメンバー交代を挟んで攻撃的な編成に変更している。
このまま押し込むのは時間の問題だろう。
そう思っていたら中央南寄りから相手が突っ込んできた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
……ヤケクソか?
そう思いながらも盾持ちストライカーは厄介なので味方と連携して集中攻撃を加える。
しかし相手はそのまま味方アタッカーに飛びつくように突っ込んでそのまま死んでいった。
◆キル
× 滋賀琵琶湖:宮本 恵理
〇 東京大神 :大野 晶
「たまに居るのよね、こういうの」
そう呟きながら一緒に突っ込んできたっぽいアタッカーを見る。
スグに引き返すだろうと思ったら、そのまま突っ込んできて耐久度が減っていた味方を狩っていく。
◆キル
× 東京大神 :西井 愛
〇 滋賀琵琶湖:三峰 灯里
そして何を思ったか、そのままこちらに突っ込んできた。
正直馬鹿にしてるのかと思う。
この私をそんなついでみたいな攻撃で倒せると思っているのかと。
スグに迎撃のためにアサルトライフルを撃つ。
「いっけぇぇぇぇぇ!!」
相手は何を思ったか手に持った銃を捨て腰に手を回す。
「……チッ!」
思わず舌打ちが出る。
相手は、着発グレネードを手に持ってピンを抜いた。
……自爆するつもりなのだ。
攻撃を受けながら相手が目の前まで走ってくる。
耐久度的にこのままでは自爆の方が早い。
「舐めるんじゃないわよッ!!」
突っ込んできた相手を思いっきり前に蹴り飛ばす。
蹴られるとは思っていなかった相手が、蹴られた反動で後ろによろめく。
その瞬間、手に持ったアサルトライフルを捨てながら後ろに下がる。
さらに後退しながら腰にあるポンプ式ショットガンを手にして一瞬で構える。
「自爆なんて10年早いのよッ!!」
ショットガンの引き金を引く。
相手はそれまでの蓄積ダメージに高威力のショットガンを受け、手にしたグレネードを足元に落としながら消えていく。
◆キル
× 滋賀琵琶湖:三峰 灯里
〇 東京大神 :大野 晶
そして地面に落ちたグレネードが爆発した。
幸い、少し離れていたためそこまでのダメージを受けずに済んだ。
周囲を爆風で覆われ、少し視界が悪いがまあスグに晴れるだろう。
そんな気が緩んだ私が次に見たものは、既に目の前まで迫っていたミサイルだった。
■side:琵琶湖スポーツ女子学園2年 リーダー 藤沢 花蓮
◆キル
× 東京大神 :大野 晶
〇 滋賀琵琶湖:藤沢 花蓮【L】
追撃のために撃ったミサイルが命中したことを確認すると、突き出した腕を下げる。
「恵理さん、灯里さん。お見事でした」
後輩2人の決死の突撃により中央の圧力が下がった。
「どこに行こうってんのよッ!!」
通信越しに梓さんの声が聞こえたと思ったらキルログが更新された。
恐らくこちらをカバーに入ろうとした相手の隙を逃さなかったのだろう。
これで中央を押し返すことが出来る。
未だ正面は黒煙に覆われている状態だ。
とりあえず後ろに下がりつつ通信を入れようと通信をオンにする。
―――その瞬間。
「……は?」
一瞬何が起こったのか解らなかった。
しかしスグに自分の置かれた状態に気づくと身体が震えて止まらない。
私の目の前には、無常にも復活カウントの表示が出ていた。
■side:私立大神高等学校1年 谷町 香織
―――ヘッドショットキル!
◆ヘッドショットキル
× 滋賀琵琶湖:藤沢 花蓮【L】
〇 東京大神 :白石 舞【L】
「……ようやく再起動?遅いわよ」
特殊キルのアナウンスと共に更新されたログを見て、思わずため息を吐く。
ようやくアリス以外を狙うようになったか。
それにしても黒煙で見えないであろう相手をよくもまあヘッドショット出来るものだと感心する。
やはり白石先輩は天才だ。
アリスにさえこだわらなければこれだけ優秀なのだから。
すかさず通信を入れる。
「相手のリーダーは落としたッ!相手が通信不能の間に決着つけるぞッ!!」
「了解!」
今、中央は私1人だ。
だが相手も恐らく1人。
そして残っているのは―――
「ここは通さないよッ!!」
相手のストライカーが叫ぶ。
新城梓というガトリングだけで戦うある意味正統派なストライカーだ。
ストライカーというとどうしても強力な武器を多数持ちたがる。
私もガトリング以外の切り札として両肩にミサイルを装備している。
それは、どうしてもガトリングだけでは火力不足を感じてしまうからだ。
ストライカーが撃ち負けて下がるなど本来あってはならない。
しかし彼女は違う。
ガトリング1本で強豪校のストライカー達と渡り合っている。
ガトリングしか使わないせいで、ガトリングの運用が気持ち悪いぐらいに上手いのだ。
私もこれぐらい上手くガトリングを使いたい……そう思わせる選手である。
「残念だけど勝たせて貰うわッ!!」
私は声を張り上げて相手を威嚇しつつガトリングを構える。
そして心の中でも叫んだ。
最強のストライカーは、私だッ!!!
■side:琵琶湖スポーツ女子学園2年 杉山 栄子
状況が激しく動く中、ついにリーダーである花蓮が撃破され通信障害が発生する。
人数差こそ無いものの相手は重装備のストライカー2人と相性的に厳しい。
どうにかして援護に回るなり攻勢に出るなりしたいのだが隣に居るのが未来では、それも現実的ではない。
彼女の持つショットガンなら至近距離まで迫る必要がある。
しかし相手はガトリングにミサイル装備のガチガチな攻撃的ストライカーだ。
更に言えばこちらは押し込まれている。
ある意味こちらが援護を要請したい所なのだ。
「なあ、栄子」
「……今、忙しいんだけど」
どう状況を打破しようか悩んでいると珍しく未来が話しかけてくる。
とりあえず通信が使えない以上、直接会話をするために近づく。
もちろん相手と撃ち合いを継続しながらなので、声を張り上げることにはなるが。
「アイツら、頑張ってたな」
「もしかして恵理と灯里?」
「そうそう。その2人」
「そうね。あと何か一手あれば逆転の目も出てくるかもね」
「ならさ……ちょっと私に付き合わない?」
「……どうしたの急に?」
「ここらでちょっと先輩らしいところ見せないとなって」
「……まあ言いたいことは解るわ」
未来の言い分も解る。
全国大会でそれなりに戦ってきたが、私も未来もそこまで目立った戦績ではない。
確かに初心者だった1年生組のカバーをしたり囮などを担当していたせいというのもあるが華々しい戦果とは言い難いのだ。
むしろ先ほど特攻をした彼女らの方が、よほどカッコイイと思えるほど。
「で、私に何をさせたいの?」
「恵理と同じ」
「……本気で言ってる?」
「その代わり確実に奥の邪魔なのまで仕留める」
「……解った。その代わり失敗したら許さないわよ」
「任せろ。絶対仕留める」
いつもの軽い感じではない真剣な言葉に私は彼女に賭けてみることにした。
どの道何もしなければ通信障害で状況が解らないこちらがジワジワと潰されていくだけだからだ。
「なら、さっさと作戦を聞かせなさい」
■side:私立大神高等学校1年 鈴木 桃香
「……ようやく機能するのか」
ぶっ壊れたエースが、ようやく仕事を思い出したらしい。
中央は互いに壊滅したので砲撃支援を北側に向ける。
これで砲撃と狙撃による相乗効果が期待出来るだろう。
―――残り時間 1分
残り時間も1分を切ったアナウンスが会場に鳴り響く。
これでようやく勝ちが安定するなと思った瞬間だった。
「南側、突っ込んでくる!?」
「単独だ!落ち着いて仕留めるぞ!」
南側には途中交代で出てきたストライカーが2人配置されている。
その2人が通信でやり取りしながら相手に対処しているようだ。
……通信障害で状況読めずにヤケクソ突撃かな?
なんて思いながらリロードが終わった迫撃砲を構えて角度の調整に入る。
そして砲弾を発射した直後だった。
「もう一人突っ込んで―――」
「クソッ!動きが―――」
一気にキルログが更新された。
◆キル
× 滋賀琵琶湖:杉山 栄子
〇 東京大神 :坂本 音々
◆キル
× 東京大神 :坂本 音々
〇 滋賀琵琶湖:大場 未来
◆キル
× 東京大神 :仁田 真琴
〇 滋賀琵琶湖:大場 未来
「チッ!抜かれやがって……」
スグに南側が抜かれたことに気づいて砲撃を途中で中断する。
装甲の駆動音と共に相手がこちらに一気に走り込んできた。
横においてあったガトリングを手にし、相手の方向を向きながら構える。
それと同時に相手もこちらにショットガンを向けて滑り込んでくる。
ガトリングは既に回転をはじめているが弾が出る前に相手のショットガンの方が先に撃ってくるだろう。
しかし相手のショットガンはソードオフという銃身を切り詰めた短い射程のショットガンで、しかも1回撃つごとに手動で排莢と弾込めをしなければらないタイプだ。
私の装甲はG.G.G社製。
あの悪名だらけになってしまったガーディアンの前の装甲であり、かなりの耐久性がある。
多少威力のあるショットガン1発ぐらいなら余裕で耐えることが出来る。
耐久値を減らされはするが、相手はその後に超至近距離からガトリングを浴びて死ぬだろう。
「残念!惜しかったわね!」
私は勝利を確信してそう叫ぶ。
だが滑り込んで私の胸部装甲にショットガンを突きつけた相手は、冷酷な表情のままこちらを見据えた。
「そうだね、惜しかったね」
相手は淡々とそう言うと、ショットガンの引き金を引いた。
「……え?」
私は混乱していた。
突然景色が変わったと思えば、目の前には復活カウントの表示。
◆キル
× 東京大神 :鈴木 桃香
〇 滋賀琵琶湖:大場 未来
「……な、何で?」
私は状況が理解出来ず呆然としてしまった。
■side:琵琶湖スポーツ女子学園1年 大谷 晴香
「これマズイって!!」
残り時間も僅かな状態で中央が荒れた。
しかもリーダー撃破を取られて通信障害になり、更に点数も負けている。
相手が冷静に逃げに徹すれば確実に負けるだろう。
通信障害である以上、自分で考えねばならない。
近くに居る京子に声をかける。
「ごめん!私のために死んでくれない?」
「……んっ?告白?」
「ははっ、それならもっと気の利いた台詞にするよ」
「だよねぇ」
「もう真面目に聞いてよ。私だってこれから自分の美学に反することしようってのに」
「はいはい、突っ込めばいいのね?」
「うん、そう。イチかバチかになるけど、ごめんね」
「U-15の頃からの仲じゃない」
「ホント……良い仲間に恵まれたよ、私は」
「今更気づいたの?」
冗談を交えたやり取りをしながらも装備のチェックを終わらせる。
これは正直賭けだった。
通信障害さえなければ確認出来ただろうけど、今それを言っても仕方がない。
あとはアリスが私の突撃に気づいてくれることを祈るのみ。
「じゃあ、あとよろしく!」
そう言うと気負うことなく京子は、敵に向かってマシンガンを撃ちながら走っていった。
すかさずそれに続いて私も走る。
目の前で集中攻撃を受けた京子が倒れる。
それを気にすることなく先ほどまで京子が攻撃していた相手にアサルトライフルを連射する。
◆キル
× 滋賀琵琶湖:南 京子
〇 東京大神 :江里口 華
◆キル
× 東京大神 :江里口 華
〇 滋賀琵琶湖:大谷 晴香
キルログが更新される。
相手側のもう1人のアタッカーが、すかさずショットガンに持ち替える。
私が突っ込んでくると分かっているのだ。
―――残り時間 1分
待ち受けられていても私は止まらない。
相手が隠れた障害物まで走り込む。
すると相手は、待ってましたとばかりに飛び出しながらこちらにショットガンを向ける。
しかしその顔はスグに驚愕の色に染まる。
「まさか私がこれをすることになるとはねッ!!」
私は走り込んで勢いのまま着発グレネードを相手に叩きつけた。
◆キル
× 東京大神 :石井 美羽
〇 滋賀琵琶湖:大谷 晴香
自滅 滋賀琵琶湖:大谷 晴香
■side:私立大神高等学校 リーダー 白石 舞
―――残り時間 1分
残り時間が1分を切ったアナウンスが鳴り響く。
既に試合は、互いに全力のぶつかり合いになっており点数移動が激しい。
そして私のスグ近くでも一斉攻撃があったようでキルログが動いた。
―――その瞬間。
「やはり来たッ!!」
高台下で爆発が起こり黒煙に包まれる中を霧島アリスが走り込んでくるのが見える。
点数差を考えれば私を倒すしかない。
だからこそ絶対に来ると思っていた。
高台を回り込んで登り口まで回ってきたアリスが、顔を出すと同時にライフルを撃ってきた。
それを予想してその場で伏せると見事避けることに成功する。
スグに立ち上がりつつライフルを構える。
相手は高台のスグ下だ。
顔を出すと相手はリボルバーを構えていた。
弾が飛んできて胸部装甲に命中し、私の耐久値が減る。
しかしそれだけだ。
私は、ライフルの照準を霧島アリスの頭に合わせる。
「私の勝ちみたいね、霧島アリス」
―――会場にライフルの銃声が響き渡った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます