第4話
■side:霧島 アリス
あれから数日経った。
元プロである前橋和歌子は、意外と監督などに向いているのではないか?
そう思えるほど、新人教育は順調だった。
初心者は大体ルールを適当に覚えさせた後に、練習試合に何度か投げ込むという荒業でレジェンドに慣れさせる。
しかし彼女はルールブックを片手に丁寧に1つづつ、ルールやVRならではの仕組みをしっかりと教え込んでいた。
レジェンドは、仮想空間による戦闘だ。
そのため独特な部分がある。
それは、個々の装備であったりシステムであったりと様々。
特にVR世界独特なものは、実体験で覚えた方が早いぐらいだ。
その1つが、リロードシステムだろう。
手動リロードと自動リロードというものがあり、手動リロードは文字通り自分で弾を詰めたりするものだ。
これが早ければ自動リロードより圧倒的に速く弾倉の交換などが行えるため、可能な限りは手動リロードが推奨される。
しかしこれには予備弾倉などを携帯しなければならないという点や、リロード中に別の行動が出来なくなるという欠点も存在する。
そして巨大な武装……特に肩や背中などに装備するタイプは、物理的に手動でリロードすることは難しい。
そのため各武器にはリロードタイムというものがあり手元のパネルでリロードを選択するか、事前に設定しておけば武器ごとに決められたリロードタイム経過後に、勝手に弾が装填されるのだ。
これが自動リロードである。
この自動リロードは例えば手に持っている武器が弾切れの時、銃撃戦の最中にリロードを挟みにくい場合などで弾切れした武器を自動リロードに任せてしまい、自分は違う武器に持ち替えて攻撃を継続するといったことが出来る。
手動リロードでスグにリロードを終わらせるのか?
それとも複数の武器と自動リロードを組み合わせて弾切れの隙を極力減らすのか?
仮想空間だからこそ出来るこうした独自な戦闘スタイルもレジェンドならではである。
STことストライカーは、特に自動リロードに頼りがちになる兵科だ。
大型武器が多いことと重装備で細かい動きが苦手なため手動リロードとの相性が悪く、装備各種もどうしても大型になりがちというのもあって基本的には全ての武装を自動に設定している選手が多い。
しかしこのストライカーで唯一、リロードを挟まない武器がある。
それは、ガトリングガンだ。
ただこれにも欠点が存在する。
オーバーヒートという独自のゲージがあり、連射し続けて銃身が過熱すると冷めるまで撃てなくなる。
大きな欠点ではあるもののオーバーヒート管理をしっかりすれば、弾数無制限の恩恵が素晴らしい武器なので派閥が出来るほど使用者も多い。
【新城 梓】も、そのガトリングの使い手の1人である。
FUJISAWA製の大型ガトリングガンのみで戦場に立つ彼女は、それ1つで戦わねばならずオーバーヒート管理が全てになる。
余計な武装を装備しないため重装甲でも比較的機動力を失っておらず、補助装備にも撃ち合いを重視してかガトリングを構える際に前に出る左肩に大きな盾を装備し、アーマー値を増加させる追加装甲も特殊装備として付けている。
国内生産で性能が安定しているFUJISAWA製の重装甲を使っていて機動力を活かした堅実な撃ち合いをすることが多く、ストライカーのみでやってきた感じが伝わってくる。
そして同じストライカーでも武装によって別物になるとよく言われるが、その実例とも言えるのが国内最大手FUJISAWA社の御令嬢である【藤沢 花蓮】だ。
自社の製品で全てを統一しており、まるでスポンサー契約でも結んでいるプロのようになっている。
しかも武器もFUJISAWA製の腕部4連ミサイルを両手に装備し、FUJISAWA製の背中・肩部一体型6連ミサイルを両肩に背負い、FUJISAWA製の脚部3連ミサイルを両足に付けている。
どこの要塞を攻める気だと言わんがばかりにミサイルまみれだ。
彼女のようなミサイル信者は【ミサイラー】と呼ばれており、ひたすらミサイルによるゴリ押しを仕掛けてくる。
ミサイルは、非常に賛否の別れがちな装備だ。
一撃火力に優れ、直撃すれば重装甲のストライカーでも一撃で撃破出来るほど圧倒的な火力を有している反面、至近距離では自爆の恐れもあって使えない。
また一度発射してしまうと手動リロードなど出来るはずもなく自動リロードに任せるしかないのだが、その自動リロード時間が長い。
特に威力重視にしているものになると再装填に30秒かかったりするので、連射力に乏しいというのも欠点だ。
装備自体も重いので、機動力も無くなってしまう。
そのため試合中に弾切れを悟られると一気に距離を詰められ、そのまま撃破されることも多い。
なので基本的には、サブ武器としてしか採用されない。
自衛すら放棄し、全てを一撃に賭けた究極のロマン運用。
それこそがミサイラーという連中だ。
花蓮に関しては一応自動リロード時間が少しだけだが短縮される補助装備を採用しているだけマシというべきか。
もちろんFUJISAWA製である。
2人は経験者であり自分の戦闘スタイルをある程度持っているので特に何も言わないが、初心者ストライカーである【宮本 恵理】は、顧問の前橋さんやSTの先輩2人に色々アドバイスをして貰う形で装備を決めていた。
そして決まった装備は、当然というべきか防御重視。
メイン武器は、マシンガン内蔵の大盾。
S.L製で、火力は無いものの軽くて丈夫。
何より連射力に優れており盾を構えたまま連射出来るので、けん制攻撃をしつつ前に出ることが出来る。
これは単純に機動力が無く、しかも攻撃時に必ず身体を晒すストライカーの欠点を補うためのものだ。
ストライカーは重装甲で防御力が高めであるとはいえその大きな姿で隠れにくく、鈍足であるため移動にも苦労する。
いざという時に逃げることも難しい。
そのため弾薬や耐久値の自己管理は、必須とも言える。
初心者である彼女にそこまでやれる訳がないのは誰もが解っているので、彼女に火力を求めようとは思わない。
あくまで防御重視で生存を意識して貰うことが重要だ。
だが大盾とおまけのマシンガンだけでは、流石に圧倒的に火力が無い。
なので肩にガトリングを装備することになった。
肩部ガトリングの中で一番軽いブルーム製の両肩ガトリングにすることで彼女の負担を減らしつつ、最低限の火力を維持する。
大盾を持つ彼女の場合なら盾に隠れながら肩のガトリングを撃つことが出来るため、初心者にも優しいお手軽な感じとなっている。
ただ彼女の体力的にこれ以上の装備が難しく、大盾と肩ガトリングの2種だけでしばらくは頑張って貰うことになった。
次は、アタッカー。
万能武器であるアサルトライフルを主軸に装備制限も緩めで、ストライカーほど派手ではないもののライン戦の主力兵科である。
一番人口が多い兵科で、アタッカーがそれなりの数が居ないとまともな撃ち合いが出来ないと言われるほど重要だ。
そのため『アタッカーの質で試合が決まる』とまで言われている。
うちでは、このアタッカーが少ない。
その分、ストライカーが多いのだが……。
しかも個性的なアタッカーまで紛れ込んでいる。
それが【大場 未来】だ。
ショットガンに情熱を燃やす彼女は3種類のメーカーのショットガンを使い分けるという、超個性的な戦闘スタイルをしている。
狭い場所や近接戦では強いが撃ち合いで強いかと言われると正直微妙なのだが、本人の強い希望なので仕方が無い。
補助武器としてスモークグレネードも持っているため、完全に突っ込む気満々である。
U-15に居た黒澤と長野を思い出す。
あの2人も、よくショットガン片手に突っ込んでたなと。
【三峰 灯里】に関しては正直アタッカーが少ないのもあり、まずはアタッカーからと誘導したような状態で非常に申し訳ない気持ちがある。
基本的な初心者用の軽量アサルトライフル、サブ武器として扱いやすいハンドガン。
補助装備として火力を出すためのハンドグレネード。
本来ならもう少し火力面を考えた装備にするのだが、彼女も体力的にこれ以上の装備が厳しい。
今後に期待といったところか。
そういう意味でアタッカーは【大谷 晴香】にかかっているとも言える。
バランス型のアサルトライフルを中心に連射力を重視したサブマシンガンと威力を重視したハンドガンをサブ武器として持つ。
補助装備として彼女の代名詞とも言えるI字型の高威力の着発式ハンドグレネードと丸型の時限式グレネードの2種類を持っている。
非常に堅実的なアタッカーに見えるのは、彼女だけだろう。
まあそんな彼女もハンドグレネードの使い手として一部で有名であり、ハンドグレネード運用は彼女の右に出る者は居ない。
そんな攻撃的過ぎる編成を支えるサポーターが2人とこちらもまた少ないが、2人とも経験者であるのが救いと言えるだろう。
サポーターは武器の装備制限がそれなりにあるため火力を出すことが難しい反面、その名の通り支援系の補助装備に制限が無い。
【杉山 栄子】は、連射力のあるサブマシンガンにサブ武器として取り回しが良い軽量ハンドガン。
サポーターの主武器とも言える補助装備は、支援ポットと設置型レーダーだ。
支援ポットは50cmほどの機材を設置すると、変形して1mほどの円柱型ポットになる。
展開設置されたポットの一定範囲内に入ると自動で弾薬補充や耐久値の回復してくれる優れもので、これが戦場にあると無いでは雲泥の差だ。
設置型レーダーは支援ポットと同じく50cmほどの円柱型装置を設置すると、1mほどに変形する。
周囲の敵味方の位置や設置物などの情報が全員の全体レーダーに表示されるようになる。
メーカーによって稼働時間や範囲に違いがあるものの、これがあれば周囲の状況が見えるため奇襲などを受けにくくなる。
彼女は、地味に重い2種類の設置物を背負う形で所持している。
見た目に反して意外と力があるのだろう。
非常に頼もしい限りである。
もう1人の【南 京子】も基本的には同じような武装だ。
威力重視のサブマシンガンにサブ武器としてバランスの取れたハンドガン。
支援に弾薬・回復パックだ。
パックとは10cmほどの箱型設置物で、これを適当に置いておいて自分や味方が箱の中央にあるスイッチを押せば、一瞬で決まった弾数を回復してくれるお手軽な装備である。
一瞬である程度の回復や弾補充が出来るため、攻めを維持しつつ補給出来るのがメリットだ。
いちいち弾を補充しに帰る必要がなく、手軽に回復出来るため人気の装備の1つでもある。
たった2人で支援を完璧に行うのは厳しいだろうが、頑張って貰うしかない。
そして一番の問題児が【安田 千佳】である。
アタッカーやサポーターの重量にすら耐えられなかった彼女は必然的に一番軽量である兵科、ブレイカーをやることになった。
ブレイカーは武装制限がそれなりに厳しく軽量装甲というのもあり、気軽に前に出るとスグに撃破されてしまう兵科だ。
だが狙撃用ライフルが唯一持てる兵科であり気軽に前に出られないこともあってか、完全に狙撃兵と化すブレイカーも多いため『兵科名はブレイカーではなくスナイパーだ』と言われがちである。
そのためか一番プレイ人口の少ない兵科だ。
まあ軽装甲故に機動力が高く補助系装備もそれなりに装備出来るため、完全な後衛兵科という訳でもないのだが……。
初心者である彼女に当然そんな癖の強い兵科で前線に立たせる訳にもいかず、比較的安全な後方からの一撃ということで一般的なスタイルである狙撃に回ってもらった。
最初は初心者セットをそのまま丸投げようとしたが、何故か【戦場でもお洒落を】がテーマのビビット社製品に走ってしまい、ビビット貸出セット一式になりそうになった。
実用性よりも見た目を重視するビビット社製を初心者が使用してしまうと。変な癖が付いてしまう恐れがありまともな練習にもならないだろうと経験者達で説得し、何とか武装だけは初心者仕様のものを持たせた。
サブ武器に一応ハンドガンは持たせたものの、それ以外は使いこなせないだろうということで何も持たせていない。
彼女に狙撃の才能があろうが無かろうが、今の彼女には狙撃兵としての道しかない。
今後どうなるかは、彼女次第だ。
そして最後は、私。
最近すっかり有名になった零式ライフルに同じくKAWASHIMA社が作ったリボルバータイプの武器『KAWASHIMAリボルバー』を持ち、接近用にナイフと攻防に便利な投擲タイプのレーダーにスモークグレネードとジャミンググレネード。
そしてスタングレネードという感じで、まあ色々と装備している。
今の攻撃的編成を考えるにしばらくはこのまま戦ってみて、状況次第でそれぞれの装備を考えるという形になるだろう。
まあ、考えても仕方が無い。
今は、初心者3人の能力向上が最優先である。
ルールを完全に覚えて貰わなければ、試合に出せないものね。
という訳でゲームを起動して実際の試合で使われるフィールドを自由に歩き回り、フィールドを覚えつつ特徴的な施設や戦闘の流れを教えていた。
「では、恵理ちゃん。全体マップを参照しつつ各施設を説明して下さい!」
*マップ【市街地】
<i526147|35348>
小柄な大場先輩が先輩面をしたいのか、宮本恵理に施設の説明をさせる。
「えっとですね。まずSって所がスタートポイント……開始位置ですね。ここでは無制限で弾薬・耐久値の回復が行えて選手の入れ替えや装備の変更なども出来ます。ゲームのスタート位置でもあり、やられた選手の再出撃場所でもあります。ここは自軍だけが利用でき、相手側は利用できません。次にMってところは軍事施設です。小さな小屋のような建物が多く、中に入ると弾薬や耐久値の回復が可能です。小屋自体を障害物として利用することで防衛にも使えます。この施設は相手側の施設であっても使用出来てしまうため、一度相手側に取られてしまうと押し返すのが困難になってしまいます。またここでは、装備の変更のみ行えます」
基本的にはゲーム開始時の装備だけで戦う訳だが開始位置と軍事施設では、事前登録してある自兵科装備に変更することが出来る。
これにより戦況に合わせて装備を変更して戦うことが可能となり単調な戦場になりにくくなっているのだ。
そして開始位置では、試合中に選手の交代が可能となっている。
LEGENDでは武器や兵科の相性なども考慮して、結構な頻度で人が入れ替わることがある。
特に入れ替えに関して制限はなく、一度抜けた選手が数分後に再度入って来ることなども普通だ。
「あと開始位置では、兵科も変更可能だね」
「あっ、そうでした!」
事前に登録したものに限定されるが、兵科が変更出来るという点も重要だ。
アタッカーとして戦っていた敵の1人が突然予想外な兵科、例えばストライカーで迫撃砲を撃ってきたりなどそういった攻撃で一気に崩れたなんて試合もLEGENDではよくある。
そのため常に相手の状況などには、注意が必要だ。
「そして真ん中にあるPというマークが発電所です。これはバリア装置になっていて占領すると相手側の司令塔周辺に展開されているバリアを消すことが可能となります。また司令塔の攻撃部の隔壁を閉じることも出来ます。これにより司令塔への攻撃そのものを止めることが出来ます。なので司令塔を攻撃する瞬間だけ占領出来れば問題がないので駆け引きが重要な施設です」
そこで一旦区切った彼女は、頭の中で色々と思い出しながら再び口を開く。
「最後が一番奥にあるCというマークの司令塔。ここは発電所を占領していなければ進入出来ないよう電磁フェンスが張られている場所で、防衛施設です。巨大な壁によって天井や側面が覆われていて。ほぼ真下からしか攻撃部位を狙うことが出来ないようになっています。この攻撃部位は「コア」や「弱点」などと呼ばれ攻撃すると直接チームのゲージを減らすことが出来るようになっていて、ほんの少し攻撃が通るだけで敵プレイヤー撃破の数人分ほどのポイントを一瞬で減らすことが出来てしまうため最重要防衛施設です」
「うむ、ちゃんと基本は覚えたね。偉い偉い」
身長的には宮本恵理の方が大きいので、まるで小さな子供が背伸びをしているようにしか見えない。
まあ本人にそれを言うと面倒なことになりそうなので
言うつもりはないが。
レジェンドはチームゲージと呼ばれる合計1000ポイントが、チームの持ち点として存在する。
ゲーム中、いかに相手のポイントを削るか……またはいかに多く自チームのポイントを残すかで勝敗が決まる。
つまり相手より多くポイントが残っていた方が勝ちという単純明快なルールで勝敗が付く。
公式ルールだと
試合時間は60分。
1人倒すと10点。
チームリーダーを倒すと50点。
コアへの攻撃は武器にもよるので一概には言えないが、一瞬でも攻撃が通れば点数を大きく削ることが出来るため、点数差があってもコア攻撃で大逆転可能となっている。
特にリーダーのコア攻撃は、ポイント2倍ダメージなので注意が必要だ。
そうして相手のポイントを制限時間までに多く削るか、相手のポイントを0点にしたら勝ちである。
個人が強ければ成立するゲームではなく、あくまでチームとして動けなければ勝てないゲームだ。
ちなみに撃破されると再復帰まで45秒間。
リーダーに関しては60秒間復帰まで待機しなければならないペナルティが発生する。
その間、武装交換や兵科交換も可能だが、45秒も試合から遠ざかるのは非常に痛い。
しかも復帰までは、各種通信を聞くことが出来るが発信することが出来なくなる。
つまり味方の通信を聞くことは可能だが、声をかけたり指示を飛ばしたりは出来ない。
なので撃破されると45秒間完全に試合から隔離されてしまう。
そしてリーダーに関しては、撃破されてしまうと通信障害を引き起こすペナルティがある。
これが発生すると味方同士の通信が出来なくなり、直接会話しか不可能になってしまう。
組織的に動く必要があるゲームにおいて、リーダー復帰までの60秒間通信障害というのは非常に重いペナルティとなる。
なのでリーダーという存在は
・撃破されると-50P(一般兵は-10P)
・撃破されると60秒間復帰出来ず(一般兵は45秒間)
・撃破されると60秒間通信障害
・司令塔攻撃時、2倍ダメージを与える
といった感じで狙われやすい反面メリットらしいものは、ほぼ無いような状態だ。
それでもリーダーは、重要な役割を背負っている。
「あ~、あ~、入ってるわね。え~っと皆さんにお知らせがあるので部室に集合してください」
審判用の拡声器によって監督の前橋さんの声がフィールド内に響く。
それを聞いて一斉にVRを終了して部室に集合する。
「さて皆さん。初心者3人も練習試合とはいえ何とか耐えうる状態になりましたので、そろそろ練習試合を行いたいと思います」
「おお、ついに」
「ようやくまともな試合ですわね」
「お~、たのしみ」
練習試合という言葉に盛り上がるみんな。
「練習相手ってどこです?」
相手が気になったので聞いてみる。
「相手は、京都の青峰女子よ」
「……確か去年の京都府代表だったような?」
「そうですよ」
「いきなり府代表ですか?よく受けてくれましたね」
「霧島アリスの名前を出したら一発だったわ」
「えぇ~……」
何故、自分の名前で一発なのか……。
「強い所と練習試合が出来る機会は然う然う多くないわ。だからこれを機会にどんどんと練習試合をしていく方針よ」
「まあ、そうじゃないとまともな試合できませんからね。うちは、身内戦すらやれませんし」
新城の言う通りであるため、誰もその言葉を否定はしない。
むしろ、練習試合を愉しみにしている感じである。
「もちろん勝つつもりで戦って貰うけど今回は、それぞれの問題点や今後の課題など様々な点を考慮して見させてもらうからそのつもりで」
そして週末、ついに初めての練習試合の日となった。
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