第24話 使命

 悟からメッセージが届いていた。


『ひかりさん、預言者と橋本代議士のつながりがわかったよ。

橋本龍一、橋本氏の父親と預言者は深く関わりがある。これから鬼追村きおいむらに行ってみる。』


 悟も山梨に向かうという。偶然なのか。


 悟には伝えたいこと、聞きたいことが山ほどある。

 メッセージを書いては消し、書いては消し…。結局は、『了解しました。気を付けて』と、当たり障りのないメッセージを送ることにした。


 橋本代議士のことを考える余裕は今のひかりにはなくなっている。鬼追村きおいむらに行かなければ。そこに真実がある。そう思えて仕方ないのだ。


 悟に連絡を入れておいた方がいいのかもしれない。でも悟を信じたい気持ちと、信じられない気持ちを抱えている今、自分一人で鬼追村きおいむらに行こうと覚悟を決めた。


『あなたなんて、預からなければよかった』義理の母の言葉。


 あの言葉は、現実だったのか妄想だったのか…。ひかりには判断がつかない。重たい空気が頭の中を駆け巡っているような、不思議な感覚がまだ続いている。


 育ての父と母は、鬼追村きおいむらにある何かに殺されたのだ。そして秋子も。

 秋子もまた、自分と深く関わったために、偶然とはいえ、鬼追村きおいむら、預言者にたどり着いてしまった。


 自分に関わったものは、全員無惨な死を迎える。きっとそう。だから、終わらせなければならない。それが使命であるような気がするのだ。


 鬼追村きおいむらで何が起きたのか、思い出した強烈な血の匂いと、「鬼」への恐怖…。死を招き寄せる何か、これらは関連があるに違いない。


 あーちゃんが待ってる。


『助けて…。』


 あーちゃんが、私を呼んでる。


 ひかりは、鬼追村きおいむらに向かった。

 何かに導かれるように…。

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