第3話 悲しみ

 秋子のお通夜に参加するために、早めに家を出ることにした。秋子の兄という人と、お通夜前に会う約束をしていたから。秋子の葬儀は親族と一部の友人だけで執り行うと言っていた。


 ひかりが秋子の訃報を知ったのは一昨日の夜10:00を回った頃だった。

 秋子の兄、|雛型 悟≪ひながた さとる≫から電話がかかってきたのだ。

 知らない電話番号に、一瞬出るのを躊躇したひかりだったが、ふと秋子のことが頭をよぎり、電話に出ることにした。

 虫の知らせとは、こうゆう時のことをいうのかもしれない…。


 秋子が事故で亡くなったこと、葬儀のこと、お通夜の前に一度ひかりと話がしたい事などを、悟は話し始めた。

 悟の声は落ち着いていて、悲しみと暖かさが同居した優しい声だった。

フワッとした、遠い世界の話を聞いているようで、ひかりは悟が何を話しているのか、最初は理解が出来ずにいた。


- 秋子が‥死んだ?


「必ず伺います。」


 お通夜の前に悟に会う約束をし、電話を切った。

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