第10話

ひとしきり食事を楽しみ、デザートと食後のコーヒーが出てきた頃、雫が机の上に小さな小包を出した。

「クリスマスプレゼント。」

「わぁ!ありがとう。開けてみていい?」

「うん。喜んでくれるとええんやけど…」

雫がくれる物を喜ばないわけが無い。そう思いながら雫はプレゼントを手に取った。

それは、手のひらに収まる程度の小さな箱だった。白い包装紙に水色のリボンで冬らしさを感じられた。

リボンを解き、箱の中を開けてみるとそこにはハートのネックレスがあった。

「かわいい〜…。ありがとう、雫ちゃん。早速着けてもいい?」

詩帆の嬉しそうな様子に雫はそっと安堵して返事をした。

「もちろん!」

箱から取り出し、ネックレスを着けた。

胸元でハートに付いたストーンがキラリと輝いた。

「やっぱり似合うね。」

「ありがとう。そうだ!私からも…。」

そう言って詩帆も机の上に小包を出した。

「はい、クリスマスプレゼント。」

大きさは、雫が詩帆にあげたものと同じくらいだ。

「開けてみていい?」

「もちろん。」

緑の包装紙に赤いリボン。クリスマスらしいそのカラーの箱をリボンを解き開けてみる。

そこには、ネックレスがあった。

「被っちゃったね。最初のプレゼントやから、いつも身につけられる物がいいかなぁと思って…」

誤魔化し笑いをしながら言い訳のように選んだ理由を詩帆は告げた。

「私も同じこと考えよったよ!ねえ、私も着けてもいい?」

「もちろん!」

包装とは裏腹に、大きなストーンと小さなストーンを組み合わせたシンプルなデザインのネックレスは、雫の端正な顔立ちによく似合った。

「似合うね、よかったぁ。」

「詩帆ちゃんも同じこと考えてたんやね。」

「うん。ネックレスやったら邪魔にもなれへんし、どこにでも着けていけると思って…まさか雫ちゃんも同じこと考えてるとは思わんかったけど。」

偶然にも同じことを考えてたことが嬉しくてお互いに笑い合う。

「それにしてもちゃんと似合ってて良かったぁ。めっちゃ悩んだんよ。」

「私も悩んだよ!でも、それが詩帆ちゃんには一番似合うかなぁと思うて。」

詩帆の胸元で輝くネックレスを見ながら雫はしみじみ言う。

「ほんとに、それ選んでよかったわ。よう似合てるよ。」

「ほんと?ありがとう。雫ちゃんのネックレスもよう似合てるよ。」

「ありがとう。そや、イルミネーションも見に行くんやろ?そろそろ出る?」

「そやね。」

雫に言われ、二人はお店を出ることにした。そして、駅前のイルミネーションへと向かう。

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