第9話

「楽しかったね〜。」

「詩帆ちゃん色んな服似合うねんもん。楽しかったぁ!」

「雫ちゃんこそどんな服も着こなしちゃって素敵だったよ。」

お互いに見繕った服を手に二人はショッピングモールを後にしながら話していた。

初めてのデートらしいデートに二人とも浮かれていた。

この後の時間も素敵な時間になるに違いないとどこか確信めいた気持ちを抱いていた。

そして確信めいた気持ちを抱きつつも二人で過ごせる時間を楽しみにしていた。

「ディナーはどんなお店なん?」

雫がワクワクとした様子で詩帆に聞いた。

「それは、お楽しみ!」

そう言いながらディナーを予約しているお店へと案内してくれる。

着いたお店は、とても雰囲気のいい老舗の洋食店という感じだった。

「わぁ…素敵なとこやねぇ。」

外観を見ただけでも雫は感嘆の息を漏らした。

東京でもこんなに雰囲気のあるお店は見たことないし入ったことも無い。

夜ということもあってか洋館風の外装がますます雰囲気良く感じられた。

「中も素敵な雰囲気やよ。どうぞ。」

そう言って詩帆がお店の扉を開けてくれた。

中に入ると、ほんのり薄暗く落ち着いた雰囲気だ。

「予約していた小柳です。」

扉を開けて中に入ると案内するために出てきてくれた店員に詩帆が声をかけた。

「こちらへどうぞ。」

店員が丁寧に予約席へと案内してくれた。

席へと案内されて二人が席についたのを確認すると、店員は「失礼します。」と一声かけて去っていった。

あまりにも雰囲気がいいので、雫は不安になって詩帆にひっそりと声をかけた。

「ねえ、ここ高いんちゃう?大丈夫?」

「大丈夫。意外とリーズナブルなんよ。」

詩帆がそう言うのならと雫はほっと胸を撫で下ろす。

その様子を見て詩帆は更に安心させようと雫に声を掛ける。

「コース料理やけど、そんな格式ばった感じでもないし、ゆっくりご飯楽しもう。」

「うん。」

二人は食べ終えるごとに次々と運ばれてくる料理に舌鼓を打ちながら楽しんだ。

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