第14話
バレンタイン。
その日、雫は手作りのバレンタインチョコを手に飛行機に乗っていた。
「詩帆ちゃん喜んでくれるかな〜♪」
今日詩帆の元へ行くことは告げていない。
ちょっとしたサプライズのつもりだ。
飛行機を乗っている間に詩帆になんて言って会おうかを考える。
「写真撮って、ここどこやと思う?って言うのがええかな〜。それか、公園とかに呼び出すのがええかな〜。家に突然行くのもええな〜。」
サプライズというのはする側も楽しいものだ。
雫はワクワクしながら飛行機での時間を過ごした。
飛行機を降りて、雫は詩帆にメッセージを送った。
『ここどこやと思う?』
メッセージには空港から撮った写真も添えてある。
『え〜?どこやろ?』
空港から見た景色を撮ったからどこかは見当がつかないようだった。
『どこやろね〜。』
そうメッセージを返しながら詩帆の家へと向かう。
『え〜?なに〜?教えてえや〜。』
『内緒〜!詩帆ちゃんもうお家帰ってる?』
『今帰ってるとこやよ。』
このまま行けばちょうど家に着いたところに鉢合わせるかもしれない。
そう思いながら雫は詩帆の家まで急いだ。
『そかそか!わかった〜!』
『ん〜?なんか用事やった?』
『ううん!そろそろ帰る頃かなぁって思っただけ。』
『そうなんや〜。』
そんなメッセージのやり取りをしながらそれぞれに詩帆の家へと向かっていた。
詩帆が家に着くと、そこには雫がいた。
「え!?雫ちゃん!?」
詩帆はとっても驚いた様子だ。
「えへへ。驚いた?ハッピーバレンタイ〜ン♪」
そう言って手作りチョコが入った綺麗にラッピングされた紙袋を渡す。
「ありがと〜!」
そう言って受け取る手には別の紙袋がぶら下がっている。
「ごめんね。私会えると思ってなかったから準備してないんだ…。」
その言葉を聞きながら、雫はふと思う。
自分宛じゃないと言うのなら、その手にぶらさがっている紙袋は何なのだろう。
大きさもちょうど雫があげたものと同じくらいで中身がチョコレートであることを彷彿とさせる。
「その紙袋は…?」
どうしても気になってしまい雫は詩帆に聞いた。
そしてその事を後で後悔する。
「あ…えっと、これは…」
言い淀む詩帆。
その反応から、明らかに自分で買い物したものではないと雫は気づく。
「…誰かに貰ったん?」
嫌な予感を感じながら雫は詩帆に問い詰めるように聞いた。
「…うん。」
戸惑いながらも返事をする詩帆。
その様子からはどう説明しようか迷っている様子が伺える。
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