第2話「1回落ち着け、なっ?」

ある日の楓さんバースデー当日。

以前から誕生日の人たちがいる度に周りの人がお祝いしているのを見て、自分も楓さんの誕生日に少しお祝いしてあげよう。

なんなら、サプライズでやってみようって事で少し浮き足立ちながら迎えたその日に起きた事。


「「誕生日おめでとー!!!」」


いつの間にか結構長くお店に通った私は常連の仲間入りを果たし、顔見知りが増え飲み友も出来た。

そんな友人たちが揃ってお祝いしているのを一緒に混ざりながら楽しく過ごしていた。

0時を過ぎていい頃合いかと、私はカウンターに控えてるユウタさんにシャンパンをお願いする。すると、ちょうどカウンターに戻ってきた楓さんに皆でおめでとうの言葉と共にポンっとコルクを飛ばす。


「えっえっ!?うっそ!マジで!?」


私からだと聞いた瞬間、他の人から貰った時とは比べ物にならないくらいのにぱっと花開くような幼い笑顔。

周りの人もやっぱり〇〇ちゃん関係だと反応特別だよねぇっと生暖かい反応。

嬉しさのあまりガバッと抱きついてきて離れない楓さんに他のバーテンの人達も慣れてるので気にせずグラスの準備。

沢山のアルコールをいつもより多く飲んでるせいでテンション振り切ってるせいか、スキンシップも多い。


お店が終わる時間になると楓さんは完全にできあがっており、最終的にはカウンター席の私の隣から離れなくなった。

皆がそれぞれお会計して帰る準備をしている時にハプニング発生。


「〇〇ー!もう俺と結婚しようよぉ」


馬鹿でかボイスでそう叫ぶと同時にギューって抱きついてきたのだ。

当然店中の視線が私に突き刺さる。待て待て。


「楓さーん、酔って口走るには強烈すぎますよー」


と、ユウタさんが声をかけてくれるが


「シラフでも泥酔でも言うこと変わんない!真剣に言ってんの!!」


まさかの逆ギレ。

その後は飲み友達からはまじのプロポーズなら返事どうする!?っと詰め寄られ。

ユウタさん達は酔っ払った楓さんを私から剥がすのに苦労し、私はチベスナ顔を皆様にご披露するはめに。

とりあえず、酔った勢いでの発言だと自分に言い聞かせる。

早とちりで勘違い女にはならないと私は最初から決めてるんだ。でも、うん。


皆まず、1回落ち着け。なっ?

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