8-2 最年少

 異様な出で立ちであった。

 民族衣装を思わせる、赤を基調としたきらびやかな装束。

 細かく編み込まれた黒髪には金の装飾が施されており、その顔もまた鷲を模した金色の仮面で覆われている。

 幼さの残る口元のみが露出していた。


 地を這う異形に対峙するその少年は、ふわりと宙を舞った。

 跳躍ではない。

 空中を駆け上がっているのだ。

 あっという間に異形の頭上に到達した少年は、弓に矢をつがえた。

 それを足元めがけて音もなく放つ。

 異形の頭部が爆炎に包まれる。

 炸裂矢だ。

 爆発に怯む異形に、間髪入れず次の矢が命中する。

 少年が夜空を駆ける。

 異形の体が砕けていく。 

 一方的な戦闘であった。


 異形が動かぬ瓦礫と化す頃、少年は地に降りた。

 その名はリウ。

 邪教会の最年少にして、最も恐れられる実力者である。

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