5-2 運動場
「文明の在り方がどれだけ変化しても、子供が土にまみれて走り回る光景というのはずっと変わらないのかな」
薄暗く静まり返った運動場を見渡しながら、シキは抑揚のない声で呟いた。
「学校なんて通ったことない」
隣に立つセツナがそっけなく返す。
辺りをぐるりと囲う照明が、深夜のグラウンドを照らしている。
照明から外側は暗闇でべったりと塗り潰されていて、それはまるで夜の空間を切り取る結界のようでもある。
「僕だってないよ」
シキはあくび混じりに言った。
「来るかな」
セツナが問う。
「来るさ」
シキが応える。
「私、この事件が片付いたら――」
セツナの言葉は、第三者の登場によって途切れた。
少年はまるで最初からそこにいたように佇みながら、ローブの奥から冷たい眼光をこちらへ向けている。
「ブラックアウト。お前を排除する」
デルタは、そう言った。
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