エピソードS⑯

「恵まれない海外の子供達に愛の手をお願いします!!」


あれからしばらくして今日も駅前で募金活動をしていた。

今日のメンツは俺、涼華、始、誠の四人である。


「裕貴先輩が休みなことは多いとして、すみれちゃんが休みって珍しいですね。」


ふと誠が言った。


それを聞いた始が

「案外デートだったりして(笑)」

と茶化す


「すーちゃんはなんか家の用事なんだって、なんか大変みたい。」


と涼華が怒るでもなく少し寂しそうな顔をして答えた。


「裕貴はどうせただのサボりだろ、それにアイツはすみれちゃんに手は出せない。実はかなり奥手だからな。女の子からグイグイいかないと恋愛って目ですら見ないから。」


俺は笑いながら説明した。


「でも、裕貴先輩はモテるから皆にグイグイ来られそうですけど…?なのに浮いた噂無いんですよね。」


と誠。


「あー、そりゃ横に俺が居るからな、体の良い弾除けだ!おかげさまで時×裕だの裕×時だの良からぬこと考える奴も増えたわ」


「あ…知らない人が見たらたしかに時雨先輩がいたら話しかけたくないかも…ザ、体育会系とザ、陰キャですもんね。たしかに薄い本が出来…」


始が言い終わる前に俺は頭にげんこつを食らわせて


「アホ!薄い本言うな、非モテの陰キャは認めるけど、お前らから言われると傷つく通り越して怒りを覚えるわ!」


ワチャワチャしてる俺等を見て涼華が笑いながら


「実は裕貴先輩ってガチかと思ってました。奥手なんて意外でした。」


と言った。


「ま、とりあえず笑顔戻って良かった、皆を笑顔にする活動するのに俺等が神妙な顔してても駄目だしな。あと裕貴に教えた事言うなよ。」


そう言いながら俺等は募金活動を続けた。


それから……


すみれは部活に来ることはなかった。


※作者より

エピソードS間もなく終わります。

クライマックスにもならないクライマックスですのでそこは勘弁してください。


今年中には次回エピソードを始めます。

多分

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