エピソードS⑬

「「恵まれない子供にご協力お願いしまーす」」


今日は街頭にて募金活動である。


事故や病気、事件などに巻きこまれ片親や、両親を亡くした子供達の助けになる為の基金の活動で、その中で助けを求めている人達の実情を知ると後輩達は驚いていた。


そのせいもあってか、後輩達は張り切った声を出して募金を呼びかけている。


秋に入って幾分過ごしやすい、そろそろ長袖を着るか悩みながら俺達も声を出して呼びかけていった。


「募金活動おつかれさん!今日は氷街達から聞いてると思うがこの後行く所あるから準備しろよよ!」


顧問の先生が皆に声をかけた。


「そういえばそうでしたね。わざわざ祭りの日にダブルヘッダーかぁ、、、」


「どうせ彼女もいない俺等はナンパしに行くだけだろ?学祭でも成果なしだったんだし諦めろ」


始の愚痴に対して誠がツッコミをいれる。


女子たちは苦笑いしながら


「私達も一緒に行きたいって人居なかったから大丈夫ですよ。せっかくなら終わって皆で行くのもいいかもですね!」


涼華はすみれと目を合わせながら言った。


「まぁまぁ、とりあえず先生の車に乗るぞ、時間もないし」


俺はみんなに声をかけ車に乗り込んだ


今日の活動場所は俺等の普段の活動範囲から少し距離が離れていた。


車に揺られながら


「先生独身なのになんでボックスカーなんて持ってるんだ?」


「うるさい、親のだ!普段の私のはやっすい軽だ」


そういえば学校の職員用の駐車場にはやや目に良くない色をした軽自動車があったなー、と思いながら外を見ていると


「それで先輩、次はどこで何をするんですか?」


すみれは1人外を見ていた俺に声をかけた。


「ん?あー、まぁ着いてからのお楽しみだ」


俺はすみれをみるとにやりとした。


裕貴は最後尾の席でいびきをかいていた。


そんな話をしていると目的地の見慣れたうちの高校が見えた。

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