エピソードS⑫

「メイド長ー!会計お願いします!」


「wwwメイド長こっちもお願いします」


「シグにゃんこっち向いて〜」


…などと後輩スタッフだけでなく客からも散々言われて対応に追われている。


裕貴の宣伝のおかげか『氷街がまたアホなことをしている』という噂が行き交い模擬店は繁盛していた。


「はーい、すぐ行きます!」


「wwwをつけないでくださいね?」


「絶対に断る!写真も禁止じゃ!」


一つ一つ丁寧に対応しながら時間を見てみんなを休憩という名の学祭周りをさせている。


俺自身は着替えるのも億劫だしただでさえトイレに行くのにジロジロ見られたり変質者を見るような悲鳴が聞こえたりで出ることが面倒になってきていたので終日模擬店にいることにした。


「しーちゃん!わざわざ学園祭でうちの看板を使ってくれてありがとう!!本当に裕貴の言う通り女の子の服似合っててかわいいわぁ!」


今回の件の最大の協力者にして最もこの姿出会いたくなかった人


裕貴母の登場である。


「おばさん今回はありがとうございます。裕貴なら陸上ですよ、あと学校でしーちゃんはマジで辞めて。」


と半分泣き出しそうになり半分誰にも聞かれていないことを祈りながら対応していた。


「ごめんなさいねー今はシグにゃんだったわね!私も今後そう呼ぼうかしら…」


などと良からぬことをつぶやきながら展示物を見て物品なども多めに買って行ってくれて嵐は去っていった…だが 


「しーちゃん先輩、これどうしたら良いですか?」


とわざとらしくすみれが聞いてきた。


俺は慌ててすみれの首をひっ捕まえて


「しーちゃんは辞めろ、もう一度いう、学校でしーちゃんは辞めろ。」


少し冷たく圧を掛けて伝えた


「はーい、メイド長!気をつけます。」


納得いったのか言ってないのかわからない反応をしめしながらすみれは持ち場に帰っていった。


そんなこんなで激動の学祭は悪夢だが平和に終わって行った。

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