エピソードS⑨

「はぁー、、、」

俺は某海峡並みに深い溜め息をついて商店街を歩いていた


傍らには春風すみれがちょこちょこと着いてきていた。


マラソン大会と違うのは春風さんの足が傷んでいないことくらいか


「あー、すまんな裕貴のやつが変な事いって

春風さんも無理しなくていいんだからな?

外も全然明るいし危険ってことは無さそうだから」


と厄介払いの為の言葉を告げた。


「わ、私は大丈夫です!むしろ嬉しい…あ、いや心強いですし。本当にあのときはありがとうございました!」


と春風さんは理由のわからないレベルでしどろもどろしていた。


「あの時の礼を言うためにわざわざ入部して追っかけて来たのか?だとしたら相当の阿呆だぞ?今からでも問題ないから織田センにも言っとくし無理に入部する必要はないよ」


俺は駅に目を向けながら伝えた。


すると春風さんは


「いいえ、今日してみて凄くやりがいのある活動だとおもいました。氷街部長が迷惑でないなら続けたいです。」


と早口で言ってきた


「俺は構わんし、部員が多いに越したことはない。あと部長は止めてくれそう呼ばれるのは嫌いだ」


まぁ、やる気があるんなら続け良いだろうし今後の部員不足にもこまらないという打算的な考えで俺はそう告げた


「だったら今後とも宜しくお願いします。氷街先輩!!」


後ろを振り向かなくてもわかるくらいの声で答え俺の腕に抱きついてきた。


俺は平然を装って

「部活を続けるのは良いとは言ったが抱きつくのは許可してない。離れろ」


少し冷たくあしらった


そうしている内に春風さんを送る駅についていた。


「じゃ春風さん、ここまでで充分だろ?裕貴は明日殴っとくからまた週末にでも部活で」


とありきたりな言葉で解散しようとしたら


「今日はありがとうございました。裕貴先輩には感謝です。やっぱり氷街先輩は優しい人でよかったです!!あと春風さんってよそよそしいんで今度からははるかって読んで下さいね!」


と笑顔で手を振りながら改札へ抜けて言った


やれやれ…と思いながら明日裕貴を詰める事を決意して俺は帰路に付くことにした。

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