エピソードM⑭
※作者より
加筆訂正しまくってたら切り際が解らなくなり二話分の長さになってしまいました。
ちなみにこの話以降は加筆がかなり増えるので長くなりがちかもしれないですが、頑張ってまとめてみます。
では本文どうぞ
『よう』
とだけ憐にメールを送った
『よう、 ひさしぶりだね』
と憐からの返事は早かった
『だな、最近彼氏とはどうよ?』
『ん?なかなか予定とか合わなくて喧嘩とかもするけどまずまず…かな』
『そかそか、 舞ちゃん元気?』
と送ってからしまったと思ったが遅かった
『やっぱりか、舞となんかあったでしょ? 最近舞も何か考え事してるみたいだし連絡もとってないの?』
勘づかれたか…
『あったようななかったような・・・かな、最後に会ったのも誕生日の時でそこから連絡もほとんど取ってなかったから』
『そっか、あんたにも言えない事なのかな、でも無理に聞いちゃ駄目だからね』
『わかってる、お前もなんか聞いてないの?』
『うん、聞いたけど生返事ばかり、てっきりあんたが帰りに送り狼になったんじゃないかと思ったよ』
抱きつかれた事を思いだしつつ俺はごまかすように
『俺は諸悪の権化か、まぁ何か分かったら教えてくれ』
とメールを切り上げた
暦もあとひと月で今年を終えようとしているころ
舞から連絡は少してはあるが帰って来るようにはなった
結局悩みのことはわからずごまかされるばかりでうやむやになっていた
バイト終わり、雨が降り出していたことに気づき憂鬱な気分になって店を出た。
そこには見慣れた女の子が傘もささずに立っているのに気づいた
舞だった
「舞ちゃん!! こんな雨の中どうしたの?」
急いで駆け寄っていくと消え入りそうな声で
「氷街さん…?」
とだけつぶやいた
とりあえず俺のうちが近かったこともあり一緒に帰ることにした
部屋につくと自分のタオルを貸し俺も着替えてとりあえず上着だけでも乾かすことにした
乾くのを待っている間、ソファに座ってボーッと部屋を眺めている舞に
「はい、コーヒー、インスタントだけど…」
とマグカップを渡した
「どうしたの? 来るなら言ってくれれば良かったのに」
と自分のマグカップを置きながら俺も座った
舞は何も言わなかったし
俺も何も聞けなかった
部屋には激しい雨音だけが聞こえていた
コーヒーがやや温くなってきた頃
舞が笑顔でこちらを向いて話し出した
「最近氷街さんに会ってなかったから急に行って驚かせようとしたんですけど雨が降っちゃってびしょ濡れになってちょっとへこんでたんです」
でも目は笑っていなかった、というより今にも泣き出しそうな瞳でこちらを見てみた
俺はその無理な笑顔がいたたまれなくて
「あの…さ…言いたくないことは言わなくてもいいけど、カラ元気で嘘だけはやめてくれないかな? 憐と何かあったの?」
とコーヒーを飲みほしながらたずねた
すると舞は再び俯いて
「憐ちゃんは悪くないんです、私が勝手に考えてるだけで…肝心な時に上手な言葉が出ない私も悪いんですけど」
と途切れ途切れながら舞は話し始めた
俺は二杯めのコーヒーを飲みながらただただそれを聞いていた
「最初はこうじゃなかったらいいなって心の中で思っていてでも次第にやっぱりって思いだしたらきりがなくて・・・」
と舞の目に涙が浮かび始めた
俺はうまく話がつかめずにいた
「上手いこと俺も言えないけど、舞ちゃんの人生の主役は舞ちゃんだよ。」
「どんな悩みかわかないから無責任なことしか言えないけど、動きださなきゃ始まらないよ」
とだけポツリポツリと話す
すると消えそうな声で
「…でも私は…です」
「え?」
と俺は聞き返した
「氷街さんが憐ちゃんのこと好きでも私は氷街さんが好きです、氷街さんが憐ちゃんの事思っていても構わないです、 だから...」
俺の思考は一瞬停止した
「は?舞ちゃんが俺のこと?えっ? で、 俺が隣の事?」
何を言われたのか、何が起こったのか理解するのに時間がかかった
「答えはすぐにはいらないです、でも真剣なんでちゃんと考えてくれると嬉しいです。服とコーヒーありがとうございました」
そういうと生乾きの上着を取って舞は玄関を出て行った
おれはまだ混乱していた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます