エピソードM⑪

起きた時には外は暗くなっていた

幾分か軽くなった身体を起こそうとすると


舞が俺の手を握ってすやすやと寝息を立てて寝ていた。


驚きつつも俺は起こさないように台所へ行き水を飲むと布団に戻って寝息をたてている舞を見ていた


すやすや寝ているその寝顔に思わず引き込まれて行くように顔を近づけていき、息と息とが重なりそうになったときに


「うーん」


と言う舞の寝言が聞こえて俺は驚いて布団に戻った


「俺は何をやっているんだ」


その時に身体に触れたのか舞が起きて


「あっ起きたんですね、 憐ちゃんはバイトいきました、寝ちゃってすみません、 おなか空きました?台所借ります。おかゆ作りますね」


と早口でしゃべりながら台所に向かって行った


俺はなんとも形容のしがたい気分になっていた


おかゆを食べ終わった頃にはいくぶんか体調も快復して


「ありがとう、助かったよ。 ずっと看病してくれてたんだね遅いけど大丈夫?」


と、言うと


「家が近かったで大丈夫ですよ、 それより氷街さんの体調の方が大事です。 憐ちゃんから聞いた時は腕の傷口が破傷風にかかったのかと心配しました」


と少し怒った様子で言われた


「あはは、傷口は思ったより大したことなかったよ」


と笑いながら答えたら


「もう、 絶対あんなことしないでくださいね、傷が残ったら大変ですよ。」


と、言った


「ごめん、もうしないよ、約束する」


「なら、良いです、 私もちゃんと言えるようにがんばりますから」


と、笑顔で舞は答えた


「そろそろ私も帰りますね、まだしっかり寝て体調治してくださいね」


と、舞は帰っていった


一人になってメールを見てみると憐から


『舞には内緒って言われたけど見舞いに行くって言い出したのは舞だよ、 舞初めてサボったみたいだよ感謝しろよ、この色男(笑)』


と来たので


『そうか、わかった憐もありがとな、色男じゃないし言い方がおっさん臭いぞ』


と、悪態をつきながら返事をすませてその日は寝ることにした


結局風邪は二日間続き、その後は嘘のように治っていた


舞と憐に快復のメールをし、学校とバイト先にも連絡して日常に戻っていた


それから数日しておれは隣に


『バイト代入ったし、二人に見舞いの礼をしたいんだが…飯でいいなら何時がいい?』


授業中にメールした。


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