エピソードM⑧

俺は近くにあったジャケットを羽織り


舞の行く宛もわからないので憐に


『とりあえず探す』


とメールして家を出た


昼はまだ適温だが夜になると冷え込んできていた。


23時を回ると駅前には、 人気は少なく神社に向かう 道には車すら通らない感じだった


神社の境内下についた頃には俺の手は冷えきっていて


「ここにいなけりゃ俺には詰みだな」


と、呟きながら向かうとそこには


恋愛ドラマや小説である『御約束』とでもいうかのように


この気温には少し薄着とも言える格好の舞がいた、


俺は舞に近づいていきながら


「こんなとこで、何してる? 風邪ひくぞ」


と、声をかけた


俺に気付いた舞は


「なんで、ここにいるんですか?」


と、弱々しい声で訊ねた


「……憐に頼まれた.... 舞こそなんで、 ここに?」


とだけ答えて舞の隣に座った


「最近の中で一番楽しかった場所だから」


「なんがあった? 聞くくらいなら出来るから話し たいなら話して」


と、きていたジャケットを舞に羽織らせると、 ぼーっと夜空を眺めた


「私、駄目なんです…憐ちゃんみたいに人とうまく付き合えないし、 バイトでも失敗ばかり...何かしたいとか何が嫌だとか伝えるのも上手く出来ないしだから...何か嫌になっ て消えちゃいたいって思ってもう、死んでいまいたくって…けど恐くて 出来なくて、 だから楽しかった場所に行きたいって思って…ここに来たんです」

と、淡々と話し出した


「憐ちゃんはいつもどじな私のフォローしてくれるし、明るくて皆とも仲良しで...」


舞は肩を震わせながら涙を浮かべていた


舞は憐にコンプレックスを抱いてる様子だった


それも死…にたくなる位に


俺はその言葉に理由に静かな憤りを抱いていた。


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