君の為なら

Kolto

if





君はいつも君を犠牲にしているね



なのにどうしていつも笑っているの?



心の奥底に隠して忘れられた小さな僕(キミ)はずっと泣いているのに









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今日は君1人だけの休日だよ


今日ぐらいは自分の好きな事をすればいいんじゃないかな?




嗚呼…また誰かの手助けかな?

本当に君はお人好しだね…

君のそういう所は嫌いではないけど

自分の事も気にして欲しいな





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人助けをしてたらもう日が暮れてきた


今夜は酒場で飲むんだね

でも程々にしてくれよ?

君は疲れると食べ物も食べずに酒を飲むからね




…また知らない女性(ひと)に絡まれているね

嫌なら断ればいいのに

君はいつも困ったように微笑んで、相手が欲しい返事をしてしまう

君の悪い所だ


そうしてまたその人を抱くんだね


君には大切に思う人がいるのに

その人には何も出来ないんだね


その女性には何の感情も無いのに

ただただ、そういう繋がりをもって一瞬だけでも何も考えないでいたいんだね






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「…外は少し冷えるよ。夜中だし、もう少し着込んだ方がいいよ」




「あぁ…フレイか…平気だ」



「君は直ぐに風邪を引くし…あとそれ、煙草も身体に良くない。もう少し自分の身体を大事にしてもらいたい」



「ん…あぁ…そうだな…お前しか知らないし別にいいだろ」



「何を言っているんだ君は。はぁ…他人の事は心配するのに、心配されると適当に流すんだから…」




「…はいはい、今はやめておくよ」



「君って人は…」




そう言うと煙草の火を消し、専用の包みにに包む



「…嫌なら断ったりしてもいいのに」



「何が?」



「君がやらなくてもいい事とか、女性との付き合いだよ」



「…そうだよな。次はそうする」




前にも同じような事を言っていたじゃないか

君は嘘をつく時には困ったように微笑む


僕が君の事を1番に理解している。君であり僕なのだから



「…クシュッ…!」



「ほら、また風邪を引いてしまう。中に入ってゆっくり休もう…。今夜は僕がいるから」



「…あぁ…ありがとう…」





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「お兄さん、…私を買ってくれない?」




「……は…」




君は本当によく女性に絡まれるね

顔は悪くないし、とにかく誰にでも優しくするからなんだろうけど




「キミは…見たところまだ10代半ばぐらいだろう。そんな事言うもんじゃない、自分を大事にしてくれ」




それ、昨日僕が言ったことじゃないか

まったく…どうしようも無い人だ…





「う…で、でも…っ…!」



「…何か困っている事があるのか?」




「それは…その…貴方と一緒にいたいなって…」



「そうか…やる事はやったし…構わないが」



「そ、そう!じゃあ…少し付き合って…ほしい…です…」




そうやってまた知らない子に付き合うんだね

本当にお人好しだ





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また日が暮れてきた

そろそろ帰ってもいいのでは




「どうした?今日一日ずっと落ち着きが無いようだが…」



「えっと…その…!」




震えて目が潤んでいる

この人はそういうのに弱い人なんだ

そろそろ解放してやってくれ




「さ、最後に…抱きしめて欲しいなって…」



「…それだけなら」




………ッ…!?

痛い…何…?



「…!」



「ごめんなさい!ごめん…なさいっ!!」



「何…………」



「あ、貴方を…こっ…殺せば…妹と弟を…かえっ…かえして…くれるっ…て!!」






長い針のようなもので腹を刺された…?

いや…刺されただけじゃない…


これは…毒…?しかも相当強い


























『フレイ?』



『やっと気が付いたようだね』



『…痛って…』



『君は猛毒が塗られた針を刺された。内臓にまで達する程の長い針をね。痛かっただろう?』



『…あまり思い出せない…』



『刺されて直ぐに意識が朦朧としてたからね。でも…そんな中で君はあの子の頭を撫でて微笑みかけていた…周りにも悟られないようにこんな人気の無い所まで来た。どれだけお人好しなんだ』



『あぁ…そう言えば…俺を殺せば妹と弟を返してもらえるって言ってたような』



『あの子もその場で泣き崩れていたよ』



『返してもらえたかな?』



『どうだろう。そう依頼する奴は極悪人かもしれない。君の大嫌いな…ね』



『…返してもらえないのであれば俺が殺しに行ったのに…』



『君はもう動けないよ。毒のせいもあって出血が止まらないんだ。僕も動けない』




『…?何か声が聞こえる気がする』



『あぁ、それは君が意識を失う前にリンクシェルを使ったんだよ。場所ぐらいしか伝えられなかったようだけれど。君の事をとても心配している。君の大切な人たちが駆けつけてくれたんだよ』



『そうか…なぁ、フレイ。俺はよく夢を見ていたんだ。声も聞こえない声がして、それが誰だかもわからない夢を。でも何故かすごく懐かしくて…』



『その夢を見ては涙を流して起きていたね。今みたいに』



『あぁ…今になってそれが誰だか思い出したんだ…あれは、父さんと母さんだ…ハッキリと今思い出した…』




『…………』




『それと…前に会ったアミスとアロン、あの双子…俺の妹と弟だったんだ…』




『そうみたいだね』



『そうだ…俺は…あの2人が産まれたばかりで…本当に嬉しくて…』



『…君もそんなに泣く時があるんだね?』



『ちゃんといたんだ…俺にも…大事な家族が…何もかも全部…思い出した…』




『今も目の前に大事な人がいるだろう?』




『…よく見えない…よく…わからないけど…』




『…もう休もう。疲れたんだ』






「…愛してる」





『……もう本当にこれが最期だね 。君を縛るものはもう何も無い。さぁ…目を閉じて』



『ありがとう…フレイ…』



『大丈夫、君には僕がいる。…君は本当に頑張ったね…少し頑張りすぎだけれど。』





涙で濡れた頬も髪もとても綺麗だ

英雄だとか何だとか言われて無理をしてきた君

こんなに呆気ない最期

最期に君の望みが叶って良かったね


次に君が目を覚ました時

その時はもっと自由に生きて欲しい

それまでゆっくり























『おやすみ、コルト』







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君の為なら Kolto @kolto441

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