第16話絶望的な強さは川を変化させる。

 部室(大きな家)から出て、子分が私のおめかし役になったわけだけど私に何をするつもりかしら。


 子分の後を付いていくと大きな川に辿り着いた。


「ここなら良いだろう」


 子分はポケットから青い綺麗な石(魔術石)を取り出し、私に数秒ほど向けた。


「レベル25? ずいぶん高いんだね」

「どうして分かったの?」

「隙だらけだよ。魔術石を見て動かないなんて、素人以下」


 素人なんだから仕方ないじゃん。


「もしかして知らないの?」


 私は全力で頷く。知らぬは一生、聞くは一瞬の恥っていうでしょ? 子分は呆れた顔をながら私を見ている。


「これも知らないで、そのレベルとかありえない。記憶喪失か何か。まああんな木に囲まれていたくらいだから考えられるか」

「そう‼︎ 私、木で囲んでたのにどうして連れ去られているの? 少しの物音なら気づくはずのに」

「そんなの簡単なことじゃないか」


 子分はポケットから小刀を出し、川に向かって構えた。何? 何をするつもりなの?


「水切り!」


 子分が下から上へと小刀を振り切ると、川の流れが切り裂けられた。


「この技を、サイレントでやっただけだよ」


 うわぁぁぁぁ異世界みたい! 異世界なんだけど。 これが技名とか言ってバサーなるやつだ。


「私もやりたい‼︎」

「やりたいって入っても、修行が必要で、そう簡単には......」


 私は子分から小刀を奪って、川に体を向けた。動作は簡単だったわよね。確か、小刀を下に向けて、上に振りかぶる時に叫ぶ!


「水切りぃぃぃ」


 ......数秒待っても反応しない。やっぱりすぐには出来ないよね? とほほ。


「だから言っただろ? 修行が必要なんだって」


 と次の瞬間、地面が揺れ私が切った場所から地盤沈下が起き滝が出来上がった。唖然とするしか出来なかった私と子分。


「いやいやいや、待て待て待て」

「てへぺろ」

「どんだけの魔力があればこんなこと出来るんだよ」

「さあ、魔術石で見れば良いじゃない?」

「魔術石のサーチで見れるのはレベルだけ。それにレベルを見れば大体ステータスは想像がつくし、でもこんな破壊力のある人は初めて見た」


 私も流石にこれはやり過ぎた感はあるよね? 今後は力を抑えることを覚えよう。

 スキル、力加減を覚えました! とか......残念ながら覚えなかったか。


「......君なら」


 子分は私の肩に触れて来た。はい、重罪です。水切り一発の刑ですね。


「助けてくれないか?」


 子分のその言葉に私は重みを感じた。

(なんかこの人、あいつらとは違うかも)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

超絶‼︎ 今すぐ出来る異世界生活〜私、絶望的に強いんで〜 華多凛。(かたりん) @NEOTYPE

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る