第11話 私、女性なんですけど!
村長の家を出ると、村人たちが私を睨んできて普通に怖い。別に悪いことやっているわけじゃないよ。
でも、なんかやるせないなぁ〜。
ファジーの家に戻って少ない荷物をまとめて、旅立つ準備が完了。旅の始まりなんてこんなものだよね。
気を取り直してアルカイダスに向かうとしましょうか。えいえいおー。
私が外に出ると、村人たちは北の森に入る入り口の前で立ち往生していた。
「おい、何でここから先行けなくなっているんだ?」
「知らねえよ。困るんだよな〜仕事が出来ねえじゃねえか」
......嘘でしょ? 5キロも離れたところで結界を張ったのに村の近くまで来てるとかどんだけ範囲が広いのよ。
どう考えたって半径のわけないよね。そしたら......あの洞窟から10キロくらいは近づけないってこと?
でも、スキルには(小)って書いてあったし。(大)になったらどうなるのよ。知らんぷりして立ち去ろう。w
結界は魔力消費がされるからこまめに回復はしなきゃいけないけど、これだけのMPがあれば問題なさそう。1時間に5くらいの消費で、寝ちゃえば回復もしちゃうしね。
私は、南の入り口から村を出ようとするとファジーが私に近づいて来た。この村の女性では美女の中に入るから、もしかした心惜しくなったね。君も分かりやすいね。フフフ
「もう行っちゃうのかい?」
「うん。私は自分を信じているから」
「そっか」
イケメンの淋しそうな顔は大の好物です。ゲヘヘ。
ファジーの気持ちも痛いほど分かるだけど、ごめん私は罪な女になりたいの。なんて小芝居をしたいくらいセンチメンタルを演出してみたりね。
「王都アルカイダスはここから馬車で二週間かかるから気をつけて」
へぇ〜馬車で二週間か......は? 馬車でって。何それ?
「ちょっと待って。歩いたらどのくらいかかるの?」
「歩いて行くなんて考えたことないから分からないけど」
先が遠い。か弱い女の子? に訪れる魔の野宿。私これでも16歳だよ。そこは『俺も付いて行くよベイビー』とか言ってくれるんじゃないの?
「村の人は琴音のこと嫌っているみたいだけど、戻って来たら俺は歓迎するから」
ちゃ、ちゃうやろ〜何で付いて来ないんだよ! だからレベル1なんだよ。イケメンのくせに冒険しないとかマジで
損。損しかないから。
「あの、なんか心細いな〜」
女を出してみるぅ〜。さあどうだ。
「そういうと思ったよ。だから」
来たー、知ってるよ。その背中に隠している大きなバッグ。それは一緒に旅をしようということだよね? ね?
ファジーはバッグの中から小包と木で出来た剣を私に差し出して来た。
嘘でしょ? まさか......。
「食料と少しのコイン、あとモンスター用の剣、これがあれば何とかなると思う。王都に向かうまでに村があるから、そこで」
......異世界のイケメンさようなら。私はもらえるもの全てもらって(バッグごと)なぎさの村を涙を流しながら去ることにしました。
(ときめき返せ‼︎)
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