第9話 無傷の帰還。

 洞窟を出たときには辺りが既に暗くなっていました。

 ゴブリンさんからはたくさんのおケーキを貰っちゃって

(欲張りじゃないよ。くれるって言ったからもらっただけなんだから)


 歩きながら考え事をしてみたんだよね。人とモンスターが仲良くするってどれほど難しいんだろうって。今回なんて、人間のエゴで故郷を奪われてしまったわけだし。


 考えても仕方ないんだけど。とりあえずファジーの家に向かうとしよう。


「ただいま」

「琴音、おかえり‼︎ 遅かったじゃないか!」

「まあ色々とあって」


 ファジーは涙を浮かべながら私に抱きついて来てびっくり。一応初対面なんですけど、まあイケメンにされるハグはウエルカムですかね。ゲヘヘ


「怪我はしてないかい?」

「うん。良くしてもらったし」

「良くしてもらった?」


 あっ......変なこと言わないようにしなきゃ。


「ご飯食べるよね? 今日は村で取れた野菜を入れたクリーライスだよ」

「クリーライス?」


 匂いからして、カレーのようなもの何だなと察した、この世界ではクリーって呼ぶんだ。間違えないようにしなきゃ。ってか申し訳ないんだけどお腹いっぱい。


「うん、食べたいんだけど疲れちゃって」

(本音を言わないので出来る女)


「そっか明日の方が味が染みて美味しいっていうのもあるしね」


 うん、理解のあるイケメンで良かった。


「でも、琴音が無事に帰って来たということは、倒してくれたんだね」

「そのことなんだけど、明日村長さんとお話がしたいと思っているの」

「村長と?」

「うん、色々と知りたいこともあるし」

「なら話をつけておくよ、今日はゆっくり休むといい」


 ああ、イケメンに優しくされるなんて、なんか快感。

 ファジーはそういうと家からワラを持って出ようとして。


「この家は自由に使っていいから。僕は友達のところに泊まるね。ほらさすがに村に変な噂を流されるのも嫌だし」


 えっ? 意外に紳士じゃん。好感度かなり上がったんですけど。ファジーはそういうと家を出て行った。

 やっと一呼吸出来た感じがするな。

 まだ異世界に来て一日も経ってないんだもんね。旅行気分かな、その方が気楽でいいと思うけど。

 私は自分のステータス画面を見るとLVが20という数字に驚いてしまった。


 ねえ、簡単に上がりすぎじゃない? 全てのステータスの数字の横に+のマークが付いているし。これってさ、恐らく基礎ステータスから上昇しているってことでしょ?

 私、どこまで強くなるんだろう。あははは


 とステータスを見ながら、お腹がいっぱいなのにも関わらず、ケーキをむさぼりつく私でした。

(デザートは別腹ってやつね。w)

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