第6話 通訳を覚えました

 洞窟の中は天井があまり高くなく、横にはたいまつで辺りを照らしていた。

 男性じゃあ腰をしゃがみながら歩かなきゃいけないから、結構大変だな。こういう時に思うの。


「背が低くて良かった」


 って。現実世界では背が低くてどこにいるか分からないゲームとかされてた同級生いたな〜。

 ......残念だけど私はやられたことないけど。切ない学生時代。はぁ〜


 一歩一歩と足を進めていくと大きな空洞が見えてきて、そこには少し小さめなテーブルや椅子、道具などがあった。


「何これ、めっちゃ可愛いんだけど」


 憧れるでしょ。こういうの! だって乙女だもん、まだ女子高校生だもん。私のためにあるかのような作り。

 嬉しくてその場をクルリと回ってみたり、あ〜なんだか幸せ。能天気とでもいうのかな? 

 嬉しいだけの感情は長く続くわけもなく、奥の方から、たくさんの足音が聞こえてきた。


「&(EHDJZAGVUL(ニンゲンよタチサレ)」


 私の前に現れたのが身長110cmほどのヒゲの生えたゴブリン。何を言っているのか分からないけどさっきは感じる。

 やっぱり戦わなければいけないのかな? 個人的に手加減が出来ないから話し合いで済んだからいいのに。


「ねえ、どうして人間を襲うの?」

「&(EHDJZAGVUL(ニンゲンよタチサレ)」


 やば‼︎ 全然伝わってない気がする!しかもゴブリンがめちゃくちゃ集まって来てるし、流石の私も地獄絵図は作りたくないし、話が分かればいいのにな〜。


【※スキル Interpreting(通訳)を取得しました】


 ......不自由はないのか。私には! まあ良かったこれで話が出来る。これも厳しい修行するよねきっと。

 あはははは。

 私はヒゲの生えたゴブリンに話掛けようと一歩前に出ると、他のゴブリンが武器を構え出したがヒゲゴブリンがそれを抑えた。


「haiohoabuigg(どうしてここに来て、人間を襲ったの?)」

「aerie noaalh(サキにテをダシタノはオマエらだ)」

「goaiyhougu(えっ?)」

「hoincaryguu(オマエらがオレらのイバショをウバッタ。アオイヨロイのヤツめ)」


 青い鎧の奴?私には何のことだかさっぱりだけどゴブリンにもゴブリンなりの理由があって、ここに来たんだ。

 それでも人を襲うっていうのは良いことだとは思わないんだよな〜。


「gnaoihbotj(オマエはテシタだな?)」

「muraosjbosi(違うよ。私は)」

「ororprogs!!(ニンゲンのハナシなんてキカナイ。ヤレ)」


 全く話を聞いてくれないじゃん‼︎ ちょっとこの世界の人間はゴブリンに何をしたっていうの!

 ヒゲゴブリンの図でゴブリンたちはみんな私を襲ってきたんだけど......はぁ〜。

 この状況、どうすることも出来ないよね?

 やっぱり、闘うしかないんだ〜。とほほ

(気が引ける。だってステータスが違いすぎるんだもん)

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