第4話 レベル1って普通そうだよね。w

「おっお邪魔しま〜す」


 私は少年の家に入り、窓の場所、危険物の把握、とりあえず警戒心は解かないように気をつけなきゃ。

 ドキドキといえど、そんないきなりは早すぎる。


「服、脱いでください」

「はぁあああああいいいいいいい!」


 ほら、男性はいつもこれだ。本に書いてあった通り、やっぱりちょっと後悔。

 男なんて信じちゃいけないんだ。

 少年は私の勘違いを察したのか、麻で作られたワンピースを私に渡した。


「そっその格好だと、色々目立つだろうから、これを着てって意味。ごっ誤解しないで」


 そういうと彼は家から出て行った。

 私が着替え終わるタイミングを見計らって家の中に入ってきた。

 それにしても、生地感がゴワゴワしているというか、吸引性があまり良くないというか、贅沢なことなんて言えないんだけど、もうちょっと可愛いのが良かったな。

(普段からお洒落なんてしてきてませんけど)


「やっぱりぴったりだ」

「ぴったり?」

「あっあの、その服、母が着ていた物で」

「着ていたって」


 少年は少し寂しそうな顔をしているけど、聞かない方が良かったかな?でももう遅いよね?

 自分の言葉は曲げずにいこう。うん。


「もう、このうちは僕しか住んでないんです。父も母も魔物にやられて」


 異世界設定きた〜〜〜〜〜‼︎ 早くもそうなるわけですね。


「僕の名前はファジー。木を切って生活をしているんだけど、ある日、村の北にある洞窟にゴブリンが住み始めて、退治に行ったんだけど、返り討ちにされてしまって」

「それでお父さんとお母さんを?」

「......僕がもう少し強ければ」


 強ければって、どの位の強さをファジーは持っているのかな?

【※スキル サーチを覚えました】


 ......都合良すぎじゃない? いいの? こんなにも苦労をしなくて。使えるものは使っていく主義だからいいけど。

 まずは、ファジーをサーチっと。


 なになに? 

 LV1


【HP】   5

【MP】   0

【攻撃】    4

【防御】   3

【魔法攻撃】 0

【魔法防御】 0

【素早さ】  5


 ......あ〜なんかごめんなさい。普通はそんなもんよね。うん。なんだろう。生まれながら才能の違いをまざまざ感じさせられてしまう感。ちょっと辛い。


「どうしたんですか?」

「いえ、こっちの話」

「そうですか。なので、そのゴブリンを倒さない限り僕たちは木を切りにいくことが出来ないんです」


 なるほどね。まあ一度は好意をケモノと勘違いしてしまった部分もあるし、ここは一肌脱ごうかな。

 うん。なんかそれがいいかもしれない。


「あっあの。私が倒しましょうか?」

「何を言っているんだ! 話を聞いていたのか! 村人が束になっても勝てなかったんだぞ」

「私、ちょっとだけ強いんです(たぶん)」

「女の子にそんな危ない目を合わせられない」

「困っているんですよね? 服のお礼です」

「行かせるわけないだろ!」


 あっ嬉しいけど、ちょっとめんどくさい男。まあ私のステータスも半信半疑だし、それを試すのにはちょうどいいんじゃないかな? とりあえずニコニコしとこ。


「大丈夫です。私絶望的に強いんで」

「でも君はレベル1じゃないか」

「えっステータス見れるんですか?」

「見れるのはレベルだけ。特殊な訓練をすればステータスを見れるスキルが身に付くと聞いたことはあるけど」


 あはははは、特殊な訓練ねえ〜。


「では、美味しいご飯を作っておいてください。私お腹ペコペコなんで」


 言い返される前にすかさず移動、そしてドアを閉める。

 よし、これで過保護男子から解放された。やっぱり人って中身が大切よね。

 とりあえず、村の北の洞窟に行ってみよっと。

(正直なところ、めっちゃ怖いけど。www)

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