第15話 休日ダンジョン探索始動
あれから、必要になりそうなものを見繕い購入した俺たちは、時間も時間ということで帰ることにした。
翌日。土曜日ということで高校は休み。
俺たち二人ともに部活には所属していないので、時間はたっぷりある。
「よし、気合い入れてくか」
葛ノ葉神社ダンジョンの入口にて、軽く身体を動かす。安全なダンジョン探索の為にも準備運動は必要だ。
「目指すは十層ボスね。これまでの感じからして、私たちの敵では無いはず」
「まあな。最悪でも俺の単純な腕力か、シズクのブレスのどっちから通じるだろ」
ダンジョンの難易度はある程度、決まった法則に従っている。前回の様子からして、桜樹回廊と難易度に差は無い。
「あとはボス後にワープポイントがあれば、文句なしだな」
それがあるだけで探索時間は片道分だけで良くなるのだ。
時間の限られる学生の身分からしたら、これほど重要なことは無い。
「それは今、気にしたところで仕方がないでしょう? そろそろ体も温まってきたし、早く行きましょ」
「それじゃ、行くか」
現在、午前九時。予定帰還時刻は午後六時。
俺たち二人での、初めてとなる長時間探索が始まった。
順調に探索は進み、前回までの最終到達地点である六層手前の階段にたどり着いた。
マッピング済みであるので、ここまでの所要時間は一時間ほどだ。
「ここからは未知の領域だな」
探索者であるシズクの父親もここから先へは行っていないらしい。
「変わらず洞窟タイプね」
鍾乳洞に近い環境に、ダンジョン特有の薄暗いがしっかりと視界の確保できる明るさ。
「環境が変わるよりかは、慣れてるこのタイプで良かった」
ダンジョンの中には変わり種として、水中や砂漠、火山地帯なども存在する。
最もそういった過酷な環境は高難易度ダンジョンの最深層に多いのだが、まれに低階層に現れることもある。そういったダンジョンは不人気ダンジョンとして、割と有名になっていたりする。
そういったダンジョン事情は置いておくとして。
「やっぱ、岩陰に隠れてやがるな」
異形化してから何となくではあるが、気配や敵意、そういった目には見えないモノを感じることができるようになった。
「あ、カズキも分かるの?」
「も、ってことはシズクも同じか。これも異形化のおかげか?」
高位の探索者になると、殺気を感じたり、気配を察知して奇襲を防ぐなんて話は聞くが。
「初心者である私たちが出来るのは、紛れもなく異形化のおかげ。きっと、増えた魔力と関係があるのよ」
なんて雑談しながらも、気を抜くことはない。
樹術によって、魔力による蔦を作り出しムチのように操る。
「グギャッ」
岩陰に潜んでいたモンスターを捕まえ、こちらに引きずり出す。
そこに間髪入れず、シズクのブレスが炸裂し燃え尽きた。
「敵に関しても、これといった変化は無さそうか?」
「コレを見た感じ、そうみたい。時間もまだ、あるのだし慎重に進みましょ」
「それもそうだな」
そもそも俺たちは真面目にダンジョンを探索し始めて一週間も経ってないんだ。
いくら、相手が弱かろうと俺たちはダンジョン初心者。
改めて、気を引き締めた。
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